公務員試験の対策を始めるにあたり、まず気になるのが「倍率」ですよね。
正確な倍率を知ることは、試験の難易度を把握し、学習計画を立てるための第一歩です。
この記事では、国家公務員試験の1つである、「労働基準監督官採用試験」の倍率を解説します。 最新(2025年度)の結果から過去の推移まで、詳しく紹介しますね。
あなたの受験する区分の難易度はどれくらいか。 その大きな流れを知ると、今後の対策がぐっと立てやすくなりますよ。
【2025年度】労働基準監督官採用試験の実質倍率は2.8倍
2025(令和7)年度の労働基準監督官採用試験の実質倍率は約2.8倍でした。
まずは、今回の試験データを分かりやすく整理します。
- 出願者:2,305人(1,072人)
- 受験者:1,113人(516人)
- 合格者:402人(191人)
- ( )内の数値は女性を内数で示す。
出願した2,305人のうち、実際に受験したのは1,113人です。 この1,113人の中から402人が最終合格者となりました。
つまり、実質倍率は約2.8倍(1,113人 ÷ 402人)となります。
区分別の実質倍率
労働基準監督官試験は、文系向けの「A区分」と理系向けの「B区分」に分かれています。
区分ごとの詳しい結果をまとめました。あなたが志望する区分の倍率を確認してみましょう。
| 試験の区分 | 受験者数 (人) | 合格者数 (人) | 倍率 (倍) |
|---|---|---|---|
| 労働基準監督A (法文系) | 999(483) | 344(177) | 2.9 |
| 労働基準監督B (理工系) | 114(33) | 58(14) | 2.0 |
【過去】労働基準監督官採用試験の実質倍率推移
最新(2025年度)の結果を把握したところで、次に過去の倍率がどのように推移してきたのかを確認しましょう。
長期的な視点と短期的な視点の両方から、難易度の傾向を掴んでいきます。
全体の実質倍率推移
| 実施年度 | 受験者数 | 合格者数 | 実質倍率 |
|---|---|---|---|
| 2025 | 1,113 | 402 | 2.8倍 |
| 2024 | 1,377 | 431 | 3.2倍 |
| 2023 | 1,419 | 413 | 3.4倍 |
| 2022 | 1,625 | 463 | 3.5倍 |
| 2021 | 1,628 | 496 | 3.3倍 |
| 2020 | 1,673 | 476 | 3.5倍 |
| 2019 | 2,106 | 573 | 3.7倍 |
| 2018 | 2,323 | 612 | 3.8倍 |
| 2017 | 2,180 | 478 | 4.6倍 |
| 2016 | 2,031 | 402 | 5.1倍 |
| 2015 | 1,852 | 417 | 4.4倍 |
| 2014 | 2,406 | 388 | 6.2倍 |
データを見ると、10年ほど前は6倍を超える非常に厳しい試験でしたが、近年は3倍台で推移する傾向にありました。
最新の2025年度試験では2.8倍と、少し落ち着きを見せています。それでも、他の国家専門職と比較すると依然として高い競争率を維持しており、難易度の高い試験であることに変わりはありません。
A区分(法文系)の実質倍率推移
採用の中心であるA区分(法文系)は、全体の倍率を押し上げる要因となっており、常に高い競争率を誇ります。
2025年度は2.9倍と全体の数値を上回っており、まさに激戦区です。
「労働法」などの専門科目の出来が合否を分けるため、法律や経済を学んできた受験生によるハイレベルな戦いが繰り広げられます。
| 実施年度 | 受験者数 | 合格者数 | 倍率 |
|---|---|---|---|
| 2025 | 999 | 344 | 2.9倍 |
| 2024 | 1,186 | 336 | 3.5倍 |
| 2023 | 1,146 | 298 | 3.8倍 |
| 2022 | 1,216 | 319 | 3.8倍 |
| 2021 | 1,217 | 336 | 3.6倍 |
| 2020 | 1,318 | 358 | 3.7倍 |
| 2019 | 1,560 | 379 | 4.1倍 |
| 2018 | 1,718 | 396 | 4.3倍 |
| 2017 | 1,567 | 339 | 4.6倍 |
| 2016 | 1,484 | 282 | 5.3倍 |
| 2015 | 1,446 | 297 | 4.9倍 |
| 2014 | 1,825 | 298 | 6.1倍 |
B区分(理工系)の実質倍率推移
一方、工場などでの安全衛生管理を担うB区分(理工系)は、A区分に比べて倍率が低い傾向にあります。
2025年度は2.0倍と、A区分よりもかなり合格しやすい数値になっています。
機械・電気・土木・建築・化学系の知識が求められるため受験者層は限られますが、専門性を活かせる理系の学生にとっては大きなチャンスがある区分と言えるでしょう。
| 実施年度 | 受験者数 | 合格者数 | 倍率 |
|---|---|---|---|
| 2025 | 114 | 58 | 2.0倍 |
| 2024 | 191 | 95 | 2.0倍 |
| 2023 | 273 | 115 | 2.4倍 |
| 2022 | 409 | 144 | 2.8倍 |
| 2021 | 411 | 160 | 2.6倍 |
| 2020 | 355 | 118 | 3.0倍 |
| 2019 | 546 | 194 | 2.8倍 |
| 2018 | 605 | 216 | 2.8倍 |
| 2017 | 613 | 139 | 4.4倍 |
| 2016 | 547 | 120 | 4.6倍 |
| 2015 | 406 | 120 | 3.4倍 |
| 2014 | 581 | 90 | 6.5倍 |
労働基準監督官採用試験の実質倍率まとめ
今回は、労働基準監督官採用試験の倍率の推移と、区分ごとの難易度の違いについて解説しました。最後に、重要なポイントを振り返りましょう。
- 労働基準監督官の実質倍率は、近年落ち着きつつあるも2.8倍(2025年度)と依然として高水準。
- 特にA区分(法文系)は2.9倍と競争が激しい一方、B区分(理工系)は2.0倍と、理系にとっては狙い目。
- 合格の鍵は「労働法」や「労働事情」といった専門科目の攻略。倍率の高さに惑わされず、自分に合った区分で専門対策を徹底することが重要。
労働基準監督官は、他の公務員試験にはない特殊な試験科目が課されるため、付け焼き刃の対策では通用しにくい試験です。
しかし裏を返せば、早い段階から的を絞って対策をすれば、高倍率の中でも十分に合格を狙えます。まずは過去問を見て、自分に合ったフィールドで戦えるかを見極めてみてくださいね。


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