「【2025年受験対策】海上保安学校の難易度と入試内容」では、試験全体の難易度や内容について広く解説しました。
本記事では、その中でも第1次試験の「基礎能力試験」に特化し、より深く掘り下げて解説していきます。
海上保安学校の基礎能力試験のボーダーラインや効率的な勉強法、科目ごとの出題傾向を詳しく知りたい方にとって、この記事が合格に向けた万全の準備を整えるための羅針盤となるはずです。
ぜひ最後までお読みいただき、合格への確かな一歩を踏み出しましょう。
【海上保安学校】基礎能力試験の概要
海上保安学校学生採用試験、最初の関門となるのが第1次試験で課される「基礎能力試験」ですね。
これは、公務員として仕事をしていく上で必要となる、基礎的な知能や知識がどのくらい身についているかを測るための筆記試験です。
レベルとしては高校卒業程度とされており、択一式(マークシート形式)で実施されます。
まずは、試験の全体像をしっかりと掴んでおきましょう。
特別(5月)試験と一般(9月)試験の違い
海上保安学校の採用試験には、主に春(5月)に行われる「特別」と、秋(9月)に行われる「一般」の2種類があります。
基礎能力試験の基本的な内容はどちらも同じですが、最終的な評価に占めるウェイト(配点比率)が一部の課程で異なります。
試験の種類→ | 特別 | 一般 |
---|---|---|
試験時間 | 90分 | 90分 |
問題数 | 40問 | 40問 |
解答方式 | 多肢選択式 | 多肢選択式 |
配点比率 | 3/4 | 一般課程:3/4 その他課程:3/8 |
表を見てわかる通り、試験時間と問題数はどちらの試験も同じです。
一番のポイントは、一般試験(9月)の「航空課程」「管制課程」「海洋科学課程」を受験する場合、基礎能力試験の配点比率が学科試験(数学・英語)と同じ「3/8」になるという点ですね。
もちろん重要な試験であることに変わりはありませんが、これらの課程を目指す方は、学科試験にも同じくらい力を入れて対策する必要がある、と覚えておきましょう。
基礎能力試験の合格点は?ボーダーラインを公式データから分析
「結局、基礎能力試験で何点取れば合格できるの?」
これが一番気になるところですよね。
結論から言うと、海上保安学校の合格ラインは単純な素点(◯点以上で合格)では決まりません。
しかし、人事院が公表している公式データを見ることで、目指すべきボーダーライン(目標点)を明確にすることができます。
年度・試験種別 | 満点 | 基準点 | 平均点 |
---|---|---|---|
特別 (2025年度) | 40点 | 12点 | 20.847点 |
一般 (2024年度) | 40点 | 12点 | 18.777点 |
この表から、合格の鍵を握る2つの重要なポイントが見えてきます。
合格の鍵は「基準点」と「標準点」
まず絶対にクリアしなければならないのが「基準点」です。
これは、いわゆる「足切りライン」のことで、基礎能力試験では12点に設定されています。たとえ他の試験種目の成績が満点だったとしても、この基準点に1点でも満たなければ、その時点で不合格となってしまいます。
つまり、40問中12問(得点率3割)は、最低限クリアすべき絶対条件ということですね。
そしてもう一つ、最終的な合否を左右するのが「標準点」という考え方です。
簡単に言うと、平均点が低い難しい試験で高得点を取るほど、標準点はグッと高くなります。逆に、平均点が高い易しい試験で高得点を取っても、標準点の伸びは緩やかになります。
周りの受験生と差をつけるためには、この「標準点」をいかに高くするかが勝負になるわけです。
結論:まずは6割(24点)を目標にしよう
では、私たちは具体的に何点を目標にすれば良いのでしょうか。
上の表を見ると、平均点は毎年およそ18点~21点(得点率45%~52%)あたりを推移しています。
これは、決して簡単な試験ではないことを示していますね。
そして、平均点と同じくらいの点数では、他の受験生と差をつけることはできません。
そこで一つの目安となるのが、得点率6割、つまり40問中24点を安定して取ることです。
この「6割」というラインをコンスタントに超える学力があれば、基準点を下回る心配はまずありませんし、平均点を大きく上回り、標準点でも有利に戦うことができます。
日々の学習では、まずこの「24点」を目標に、過去問や問題集に取り組んでいきましょう。

ここ最近はボーダーフリー(基準点=ボーダー)が続いていますが、最終合格するなら6割はほしいところです!
【科目別】基礎能力試験の出題範囲と問題数内訳
基礎能力試験の40問は、大きく分けて「一般知能分野」と「一般知識分野」の2つから、それぞれ20問ずつ出題されます。
簡単に言うと、「知能分野」は考える力を測るIQテストのような問題、「知識分野」は高校までに学んだ知識を問う暗記問題、とイメージすると分かりやすいでしょう。
では、それぞれの分野の具体的な科目と問題数を見ていきましょう。
一般知能分野(計20問)
計算力や読解力、論理的な思考力など、「考える力」を測る分野です。
科目と出題数(予定)は以下の通りです。
試験科目 | 2022 | 2023 | 2024 |
---|---|---|---|
数的推理 | 4 | 4 | 4 |
判断推理 | 5 | 5 | 5 |
空間把握 | 2 | 2 | 2 |
資料解釈 | 2 | 2 | 2 |
現代文 | 4 | 4 | 4 |
英文 | 2 | 2 | 2 |
古文漢文 | 1 | 1 | 1 |
知能分野は、全40問のうち半分の20問を占める最重要分野です。特に文章理解(現代文、英文、古文漢文)と課題処理(判断推理)の出題数が多く、ここでいかに得点できるかが合否の大きな分かれ目となりますね。
一般知識分野(計20問)
高校までに履修した、社会科学・人文科学・自然科学を中心とした知識が問われる分野です。
科目と出題数(予定)はこちらです。
試験科目 | 2022 | 2023 | 2024 |
---|---|---|---|
政治 | 2 | 2 | 2 |
経済 | 2 | 2 | 2 |
社会 | 1 | 1 | 1 |
日本史 | 1 | 1 | 1 |
世界史 | 2 | 2 | 1 |
地理 | 2 | 2 | 2 |
国語 | 2 | 2 | 2 |
英語 | 2 | 2 | 2 |
思想 | 1 | 1 | 1 |
数学 | 1 | 1 | 1 |
物理 | 1 | 1 | 1 |
化学 | 1 | 1 | 1 |
生物 | 1 | 1 | 1 |
地学 | 1 | 1 | 1 |
情報 | – | – | 1 |
見ての通り、非常に多くの科目から出題されます。高校時代の選択科目によって、得意・不得意がはっきり分かれる分野と言えるでしょう。
全てを完璧にマスターしようとすると時間がいくらあっても足りません。
次の「勉強法」で解説しますが、どこを優先し、どこを捨てるかという戦略的なアプローチが不可欠になります。
海上保安学校 基礎能力試験の5ステップ勉強法
基礎能力試験の範囲は膨大ですが、心配はいりません。
やみくもに手をつけるのではなく、正しい手順で効率よく勉強を進めれば、合格に必要な力は必ず身につきます。
ここでは、多くの合格者が実践してきた王道の5ステップ勉強法をご紹介しますね。
STEP1:学習計画を立て、全体像を掴む
何事も、まずは計画から。試験日から逆算して、自分だけの学習スケジュールを立てましょう。
- 平日:毎日2時間(例:知能分野1時間、知識分野1時間)
- 休日:3〜4時間(平日の復習+過去問演習)
といったように、1週間単位で「いつ、何をやるか」を大まかに決めるだけで、日々の勉強に迷いがなくなります。
本格的な勉強を始める前に、まずは人事院の公式サイトで公開されている過去問を1年分解いてみるのがおすすめです。時間を計って解くことで、「今の自分の実力(現在地)」と「合格までの距離」が分かり、計画が立てやすくなりますよ。
STEP2:出題数の多い「知能分野」から始める
学習を始めるにあたって、最も優先すべきは「一般知能分野」です。
理由は2つあります。
- 配点が全体の半分(20問)を占めるから
- 解けるようになるまで時間がかかる「積み上げ型」の科目だから
特に「数的処理(数的推理)」や「課題処理(判断推理)」は、公式や解法パターンを覚えてから、問題演習を繰り返して初めて得点できるようになります。
一夜漬けが全く通用しない分野なので、早い段階からコツコツと取り組むことが合格の絶対条件です。
STEP3:参考書と過去問でインプット・アウトプットを繰り返す
具体的な勉強は、「参考書で解法をインプット」→「過去問・問題集でアウトプット」というサイクルを高速で繰り返すのが基本です。
- 【インプット】参考書を読み、例題などで解き方のパターンを理解する。
- 【アウトプット】すぐに同じ分野の過去問や問題集を、自力で解いてみる。
- 【復習】間違えた問題は、なぜ間違えたのか解説を熟読し、もう一度解き直す。
このサイクルを繰り返すことで、知識が脳に定着し、初見の問題にも対応できる応用力が養われます。
あなたのブログで紹介されているような、定評のある参考書を1冊決めて、それを徹底的にやり込むのが良いでしょう。
STEP4:「知識分野」は頻出範囲に絞って暗記する
科目数が多く、範囲が広すぎる「一般知識分野」は、“すべてを完璧にやろうとしない”ことが重要です。
ここでの鉄則は、「出題頻度の高い分野に絞って、そこだけは確実に得点する」という戦略です。
たとえば、社会科学の政治で「憲法の基本原理」に関する分野。どの参考書でも重要度Aとされており、多くの受験生がこの分野に重点的に取り組んでいます。


ところが、海上保安学校の過去10年分の出題を徹底分析したところ、なんとこの『憲法の基本原理』はほとんど出題されていなかったのです。


そう、あなたが今、貴重な時間を使って取り組んでいるその分野…実は“出ない分野”かもしれません。
どの分野が頻出なのかは、過去問を分析すれば見えてきます。
下記の記事で詳細な出題範囲を分析しています。ぜひ参考に学習の優先順位をつけてみましょう!
一般・航空他(9月試験)
STEP5:模試や過去問で時間配分を体に染み込ませる
試験直前期になったら、本番と同じ「90分で40問」という条件で、時間を計って過去問や模擬試験を解くトレーニングを積みましょう。
この実践演習の目的は、以下の3つです。
- 時間配分の習得:1問あたり約2分というペースを体に染み込ませる。
- 本番のシミュレーション:試験の緊張感に慣れ、解く順番などを確立する。
- 弱点の最終確認:最後まで得点できない分野を洗い出し、最後の追い込みをかける。
特に、時間内に全ての問題を解ききることは至難の業です。「少し考えても解法が思い浮かばない問題は、潔く飛ばして次に進む」という判断力も、この段階で養っておきましょう。
まとめ:基礎能力試験は「知能分野」と「頻出範囲」の攻略がカギ
今回は、海上保安学校の基礎能力試験について、その概要から具体的な勉強法まで詳しく解説しました。
最後に、合格を掴むための重要なポイントをもう一度おさらいしておきましょう。
- 目標は6割(24点):まずは平均点を大きく上回る「6割」を安定して取れる実力を目指しましょう。
- 最優先は「知能分野」:配点の半分を占め、習得に時間がかかる数的処理や判断推理から真っ先に学習をスタートすることが重要です。
- 「知識分野」は効率重視:科目数が膨大な知識分野は、過去の出題傾向を分析し、「頻出分野」に的を絞って暗記するのが最短ルートです。
- 勉強の基本は反復練習:参考書(インプット)と過去問(アウトプット)のサイクルを繰り返し、知識を確実に定着させましょう。
基礎能力試験は、科目・範囲が膨大であるため、多くの受験生がどこから手をつければ良いか分からずに悩んでしまいます。
しかし、それは逆に言えば、正しいアプローチで効率よく学習を進めた人が、着実に合格に近づけるということでもあります。
この記事を読んで「よし、やってみよう!」と思ってくださったなら、まずは第一歩として、下記記事から過去問をダウンロードし、1〜3年分解いてみてください。そこからあなたの合格への道が始まります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。あなたの挑戦を心から応援しています!
下記の記事で詳細な出題範囲を分析しています。ぜひ参考に学習の優先順位をつけてみましょう!
一般・航空他(9月試験)
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