警視庁(東京都)の警察官になりたい人が最初にぶちあたる壁、警視庁警察官採用試験。
試験対策を始めるうえで、難易度(難しいのか簡単なのか)が気になる人は多いです。
そこで今回は、警視庁警察官採用試験の難易度(難しさ)を徹底解説します。
すぐに対策を始められるように試験内容や傾向もまとめているので、ぜひ参考にしてくださいね!
2025年度警視庁採用試験の変更点
2025(令和7)年度警視庁警察官採用試験の変更点は以下のとおりです。
- 適性検査(SPI3)の導入
- 試験科目の変更
- 第1回試験にⅢ類(高卒)新設
- 第3回試験の廃止
適性検査(SPI3)の導入
第1次試験に実施される教養試験の代わりに適性検査(SPI3)で受験できるようになります。
適性検査(SPI3)は、教養試験に比べると試験範囲が狭く対策しやすいです。しかし、ボーダーラインは高くなりやすいので注意が必要。
他県・市の選考も受けるなら教養試験、警視庁一本なら適性検査って感じで対策しましょう!
試験科目の変更
- 教養試験の出題範囲縮小
- 論作文の試験時間短縮
- 国語試験の廃止
教養試験の出題範囲縮小
項目 | いままで | これから |
---|---|---|
試験時間 | 120分 | 70分 |
問題数 | 50問 | 30問 |
出題範囲 | ・数的処理(推理) ・判断推理 ・図形判断(空間把握) ・資料解釈 ・文章理解 知識分野 ・社会科学 ・人文科学 ・自然科学 ・一般科目(国語、数学、英語) | 知能分野・数的処理(推理) ・判断推理 ・図形判断(空間把握) ・資料解釈 ・文章理解 知識分野 ・社会科学 ・一般科目(国語、英語) ・時事 | 知能分野
論作文の試験時間短縮
項目 | いままで | これから |
---|---|---|
試験時間 | 80分 | 60分 |
国語試験の廃止
第1次試験に実施されていた国語(漢字)試験が廃止されます。
第1回試験にⅢ類(高卒)新設
第1回試験(4月試験)にⅢ類(高卒程度)の試験枠が新設されます。
既卒者が対象なので、現役高校生は受験できません!
第3回試験の廃止
第3回試験(1月試験)が廃止されます。
これにより年3回あったチャンスが大卒は2回、高卒(現役)は1回だけになります。
高卒(既卒者)は従来通り2回のチャンスがありますね!
警視庁採用試験の難易度
結論から言うと、警視庁採用試験の難易度は高くないです。しかし、最終合格するのは簡単ではありません。
これを詳しく解説します。
倍率は高い
警視庁採用試験の倍率は、他県の警察官採用試験に比べて高い傾向にあります。
自治体 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
警視庁 | 3.2 | 3.1 |
神奈川県 | 2.7 | 2.4 |
千葉県 | 1.9 | 1.6 |
愛知県 | 2.4 | 2.1 |
警察官採用試験の平均倍率は2倍程度なので、比べると警視庁の倍率はやや高いことがわかります。
とはいえ、この数値の中には本気で合格を目指して対策する人が少ないことや予定の採用人数よりも多くの合格者を出すことを考えると、倍率=難易度と直接的に言えない点には注意が必要です。
試験問題は中学から高校1年レベル
対策するのに多くの時間が必要な筆記試験のレベルは、中学校や高校で勉強してきた内容です。
たとえば、次はメイン科目の一つである数的推理の問題。
「平均算」という単元で、小学校高学年で学習する内容です。なんとなく覚えているのではないでしょうか。
時間をかければ解ける問題は多いので、大学入試や各種資格試験に比べると難易度は低いです。
ボーダーラインは6割程度
ボーダーラインがそこまで高くない点も難易度の低さを証明しています。
たとえば、警視庁合格者の報告では6割前後の点数で最終合格できており、しっかり準備しておけば容易に到達できる水準です。
試験によっては高得点が必要な場合もあるため(裁判所事務官8割、消防庁三類7割など)、比較すると難易度はそこまで高くないと言えます。
全員は合格できない
しかし、警視庁警察官採用試験は競争試験です。
つまり、一定数の採用枠に対して、成績上位者から順に合格が決まるため、受験者全員が合格できるわけではありません。
資格試験(英検や漢検など)であれば偏差値の高い人が何人いても基準点を取れれば合格できますが、競争試験では偏差値の高い人たちよりも1点でも多くの点数を取らなければ合格できないのです。
受験者の大半が東大レベルだったら勝てる気がしないですよね…。
人物重視(面接が重要)
また、最終合格するには、知識や学力だけでなく、警察官としての適性・資質や人間性(コミュニケーション能力)も必要です。
単純に筆記試験の点数を取れば合格できるものではなく、面接・論作文などによる人間性が最重視されるため、努力がそのまま結果に結びつかない難しさがあるんですよね。
これまでの入学試験や資格試験では、知識を詰め込んでいれば合格できたものが、警視庁警察官採用試験では、能力を総合的に評価されるため単に知識を詰め込んでいるだけでは合格できないのです。
何かの試験に偏った対策をするのではなく、どの試験科目もバランスよく対策しましょう。
警視庁採用試験の試験内容
警視庁採用試験は一次試験と二次試験の2段階選考となっています。
- 一次試験
- 二次試験
一次試験
一次試験では、教養試験または適性検査(SPI3)と論作文試験が実施されます。
教養試験
計算力や読解力を測る『一般知能』と、今までに勉強してきた基礎学力を測る『一般知識』で構成される筆記試験です。
試験時間 | 70分 |
---|---|
問題数 | 30問 |
出題形式 | 多肢選択式(マークシート) |
レベル | 大学卒業程度 |
出題範囲 | ・数的処理(推理) ・判断推理 ・図形判断(空間把握) ・資料解釈 ・文章理解 知識分野 ・社会科学 ・一般科目(国語、英語) ・時事 | 知能分野
幅広い科目・分野から出題されますが、問題レベルはそんなに高くありません。
どの科目から手をつけるのか、どの分野は捨てていいのかなど、出題傾向(範囲)を理解し効率よく勉強しましょう。
教養試験の出題傾向や勉強方法は下記の記事で解説しています。参考にしてくださいね!
適性検査(SPI3)
論作文試験
自分の考えや主張を論理的に説明する文章形式の試験です。筆記試験では判断できない、論理的思考力や読解力、警察官としての適性などを総合的に評価します。
試験時間 | 60分 |
---|---|
問題数 | 1題 |
文字数 | 1000字 |
評価基準 | ・内容 ・表現 ・文字 |
論作文は、自分では文章が書けると思っていても、意外に書けなかったり、書けた(気になった)としても課題に対してまったく十分な解答にはならないことはよくあります。
勉強すればしただけ成果が見える筆記試験とは違い、客観的な評価(添削してもらうこと)でしか習熟度がわからないため厄介な試験といえるでしょう。
毎年、論作文で評価がもらえずに不合格となる受験者は一定数いるので早めに準備をしてください。
論作文試験の過去問や対策方法は下記の記事で詳しくまとめています。
二次試験
警視庁採用試験の二次試験では、面接試験、体力試験、適性試験が行われます。
面接試験
警視庁警察官採用試験の面接は、自己PRや志望動機から警察官(公務員)としての適性や素質、人間性などを評価・判断する人物試験です。
とくに警視庁(警察官)は面接試験が重視されているので、早い時期から面接対策を見据えていきたいところです。
試験では、一般的な質問に加え、公務員としての責任や使命や、警察官の仕事内容の質問が出されます。
実施形式 | 個人面接 |
---|---|
試験時間 | 30分程度 |
面接官 | 3人 |
面接カード | あり(二次試験日に記入) |
質問例 | 自己紹介をしてください。 志望動機を言ってください。 ⇒なぜ警視庁を志望するのですか。 ⇒警視庁のイメージを言ってください。 長所と短所を簡潔に言ってください。 趣味はありますか。 ⇒どのくらいやっていますか。 ⇒なぜ始めたのですか。 語学はどのくらいできますか。 ⇒これから極めたい語学はありますか。 友人はどれくらいいますか。 ⇒友人からどのように思われていると思いますか。 ⇒親友の名前と漢字を教えてください。 警察官になることを誰かに相談しましたか。 ⇒両親はなんと言っていますか。 ⇒友人はなんと言っていますか。 |
個人面接は1人の受験者に対して、集中してチェックできるため、面接官は様々な観点から評価することができます。
間違いのない回答を目指すことも重要ですが、あまりマニュアルに頼るのではなく、それ以上に自分らしさや警察官への熱意をアピールできるように準備していきましょう。
より詳しい傾向や対策方法は下記記事で解説しています。
体力検査
体力試験(検査)は、警察官として必要な、基礎的な体力が備わっているかどうかを判断する試験のことです。普段から鍛えていれば難度は低いと思います。
体力検査の項目
- 腕立て伏せ
- バーピーテスト
- 上体起こし
- 反復横跳び
検査項目は簡単ですが、どの項目も正しくやりきることが重要です。正確なフォームで行わないとカウントされないので注意してください。
- 我流でやってもカウントしてもらえなかった。
- 腕立て伏せはかなり低い位置まで下げないとノーカン。
- 監視員によって評価が曖昧なところが気になる。
受験者たちからは、このような感想をいただいています。しっかりルールを把握して対策しましょう。
なお、正しいフォームややり方は文部科学省の資料「新体力テスト実施要項」を参考にしてください。
特に対策は必要ありませんが、視力などに不安がある人はあらかじめ眼科などを受診しておきましょう。
警視庁採用試験に関するFAQ
警視庁採用試験に関するFAQ(受験者から頻繁に寄せられる質問とその回答)をまとめています。
試験概要
試験日程
試験対策
警視庁採用試験は難しいのか
難易度だけで考えれば、警視庁警察官採用試験に受かることはそんなに難しくありません。試験問題は中学〜高校レベルですし、ボーダーラインも5〜6倍程度だからです。
しかし、単純に筆記試験の点数を取れば合格できるものではなく、面接・論作文などによる人間性が最重視されるため、努力がそのまま結果に結びつかない難しさがあります。
解説したとおり、警視庁採用の試験内容は幅広いため、適当に勉強を進めるのではなく、傾向ををきちん理解してから効率よく行うことが大切です。
本サイトでは、警視庁警察官採用試験合格に必要な情報を多く配信しています。
ぜひ、参考にして対策を始めてくださいね。
-
【高卒】警視庁警察官三類の過去問(問題・解答)と使い方3選
この記事では、警視庁警察官採用試験三類(高卒)の過去問と使い方を解説! 警視庁一類の過去問はこちら。 過去問を正しく使えば、試験の出題傾向を把握できます。逆にいえば、過去問の使い方次第で大きく差が出るということです。 まずは過去問を見て、出… -
【2024年度】警視庁採用一類・三類の試験日程と合格発表日
この記事では、2024(令和6)年度警視庁警察官採用試験一類・三類(高卒)の日程を紹介します。 出願から最終合格発表日までの流れも詳しく解説しているので、警視庁警察官採用試験への合格を目指す際の参考にしてください。 警視庁警察官採用の試験日はい… -
警視庁警察官採用試験の面接対策!過去の質問と面接カードの重要性
「【2025年受験対策】警視庁採用試験の難易度と試験内容」では、試験全体の内容や対策について広く解説しました。 本記事は、その中でも面接試験に特化し、より深く掘り下げて解説します。 面接試験がどんな試験なのか、どういった質問が聞かれるのかを網… -
【簡単】警視庁警察官採用試験の国語試験とは?過去問や対策方法
この記事では、警視庁警察官採用試験の国語試験(漢字テスト)に関する情報をまとめています。 「国語試験はどんな内容なの?」「国語試験の過去問が見たいな」という方は、ぜひ参考にしてくださいね。 一類、三類共通です。 警視庁警察官採用試験の国語試… -
【一類・三類】警視庁警察官採用試験の過去問と使い方
警視庁警察官採用試験を攻略するには、過去問の活用は非常に重要です。 過去問を解くことで、試験の出題傾向や自身の実力を把握し、効率的に学習を進めることができます。 本記事では、警視庁警察官採用試験一類(大卒)と三類(高卒)の過去問を扱いやす…
コメント