「法務省専門職員(人間科学)採用試験って、どのくらい難しいの?」
法務省専門職員を目指す方なら、一度はそう考えたことがあるのではないでしょうか。
結論から言うと、法務省専門職員(人間科学)採用試験は難しいです。
本記事では、なぜこの試験が「難しい」のか、その理由を漠然としたイメージではなく公式データに基づいて徹底解説。さらに、合格するために必要な対策までをまとめていますので、ぜひ参考にしてください。
そもそも法務省専門職員とは?試験概要を確認
これから法務省専門職員採用試験の合格に向けて準備を始めるわけですが、何から手をつければいいか迷うかもしれません。
まずは敵を知ることから始めましょう。
ここでは、現時点で最新の「2025年度(令和7年実施)採用」の受験案内をもとに、法務省専門職員採用試験の全体像を分かりやすく解説していきます。
募集区分・採用人数
法務省専門職員には、以下3つの職種(区分)があります。
どのような職務をしたいのか考えて受験をしましょう!
職種 | 職務内容 | 採用数 |
---|---|---|
矯正心理専門職 | 心理学の専門的な知識・技術等をいかし、非行を犯した少年や刑事施設に収容されている受刑者を対象とした職務に従事します。 | 45 |
法務教官 | 専門的な知識・技術と懇切で誠意のある態度をもって、少年院・少年鑑別所に収容されている少年や刑事施設に収容されている受刑者を対象とした職務に従事します。 | 185 |
保護観察官 | 地方更生保護委員会や保護観察所に勤務し、心理学、教育学、福祉及び社会学等の更生保護に関する専門的知識に基づき、社会の中において、犯罪をした人や非行のある少年の再犯・再非行を防ぎ改善更生を図るための業務に従事します。 | 30 |
採用数は年度によって変動します。必ず採用年度の実施要綱で確認してください。
受験資格
「そもそも自分は受験できるのかな?」
最初に確認すべき大切なポイントですね。法務省専門職員採用試験では、主に以下の要件を満たす必要があります。
職種 | 職務内容 |
---|---|
矯正心理専門職 | 1995(平成7)年4月2日~2004(平成 16)年4月1日生まれの者 |
法務教官 | 1995(平成7)年4月2日~2004(平成 16)年4月1日生まれの者 1985(昭和 60)年4月2日~1995(平成7)年4月1日生まれの者(社会人枠) |
保護観察官 | 1995(平成7)年4月2日~2004(平成 16)年4月1日生まれの者 |

他試験では年齢要件の緩和が進んでいます!法務省もその動きがでるかも・・・。
試験日程(選考スケジュール)
試験対策は、スケジュール管理が命です。2025年度採用試験の大きな流れを把握し、いつまでに何をすべきか計画を立てましょう。
受付期間 | 2025年2月20日(木)〜3月24日(月) |
---|---|
第一次試験 | 2025年5月25日(日) |
第一次試験 合格発表 | 2025年6月17日(火) |
第二次試験 | 2025年7月4日(金)〜7月9日(水) |
最終合格発表 | 2025年8月12日(火) |
この流れを見ると、出願から一次試験まで約2ヶ月、一次試験から二次試験までも約1ヶ月と、意外と時間がないことが分かります。



国税専門官や労働基準監督官なども同じ日に試験を行っています!
試験科目(内容)
法務省専門職員採用試験は、第1次選考と第2次選考の2段階選抜方式です。
まず第1次選考で受験者を採用予定の2〜2.5倍まで絞り込み、その後、通過者を対象に第2次選考を行って採用候補者を決定します。
▼第1次試験の科目(内容)
試験科目 | 問題数等 | 主な内容 |
---|---|---|
基礎能力試験 | 30問・110分 | 公務員として必要な基礎的な能力(知能及び知識)についての筆記試験 |
専門試験 (多肢選択式) | 40問・140分 | 法務省専門職員として必要な専門的知識などについての筆記試験 |
専門試験 (記述式) | 1問・105分 | 法務省専門職員として必要な専門的知識などについて論じる筆記試験 |
▼第2次試験の科目(内容)
試験科目 | 主な内容 |
---|---|
人物試験 | 人柄、対人的能力などについての個別面接 |
身体検査 | 主として一般内科系検査、視力についての測定 |



総合評価なので、筆記と面接をバランスよく対策することが大事です!
法務省専門職員採用試験が難しい3つの理由
法務省専門職員採用試験が難しい理由は次の3つです。
- 「3倍超」の競争率という壁
- 広く深い知識が問われる「専門試験」
- 「得点の難しさ」
1つずつ解説していきます。
理由1:ライバルが多い!「3倍超」の競争率という壁
まず、最も分かりやすい難易度の指標が競争倍率です。
これは「何人の受験者のうち1人が最終合格できるか」を示す数値で、高ければ高いほど合格のハードルは上がります。
最新の試験結果を見てみましょう。
試験の区分 | 申込者数 | 合格者数 | 倍率 |
---|---|---|---|
全体 | 1,790 | 422 | 4.2 |
矯正心理専門職A | 125 | 32 | 3.9 |
矯正心理専門職B | 377 | 53 | 7.1 |
法務教官A | 564 | 128 | 4.4 |
法務教官B | 367 | 113 | 3.2 |
保護観察官 | 232 | 68 | 3.4 |
全体の倍率は4.2倍。これは、4人以上のライバルに勝って、ようやく1人が合格できるという計算です。
特に注目すべきは「矯正心理専門職B」で、その倍率は驚異の7.1倍。ここまで来ると、もはや「狭き門」と言わざるを得ません。
他の区分も軒並み3倍を超えており、法務省専門職員になるためには、まずこの高い競争を勝ち抜く必要があるのです。
▼法務省専門職員の実施状況は以下の記事で詳しくまとめています。
理由2:量が膨大!広く深い知識が問われる「専門試験」
次に、試験対策を困難にしているのが、その試験科目の幅広さと専門性の高さです。
法務省専門職員の一次試験は、大きく分けて2種類あります。
- 基礎能力試験(教養):公務員として必要な判断力や数的処理能力、時事問題などの知識。
- 専門試験:職務に必要な専門知識。
問題は、この専門試験の範囲が非常に広いことです。職種にもよりますが、主に以下の分野から出題されます。
- 心理学
- 教育学
- 福祉学
- 社会学
さらに、ただのマークシート形式だけではありません。与えられたテーマについて1時間45分で論述する「記述式」の試験も課されます。
これは、単なる知識の暗記だけでは対応できず、テーマに対する深い理解と、それを論理的に文章化する力がなければ太刀打ちできません。
この「広範囲の知識」と「深い思考力」の両方が求められる点こそ、学習負担を増大させ、試験の難易度を押し上げている大きな要因です。



ちなみに面接試験もあるので頭だけ良くても合格はできません!
▼実際の問題(過去問)を見たい方は、以下の記事をご覧ください。
理由3:平均点が証明する「得点の難しさ」
3つ目の理由は、国家専門職試験の基礎能力試験(教養試験)の平均点です。
職種 | 平均点 |
法務省専門職員 | 15.467 |
---|---|
国税専門官 | 18.005 |
財務専門官 | 19.081 |
この基礎能力試験は、財務専門官や国税専門官など、他の国家専門職の受験者も“全く同じ問題”を解きます。にもかかわらず、法務省専門職員の平均点は、他の主要な専門職と比べて際立って低いことが分かります。
これは一体、何を示しているのでしょうか?
それは、「法務省専門職員の受験者層にとって、この試験は客観的に見て非常に難しい」という事実です。
優秀な人材が集まる公務員試験において、これだけ平均点が低く抑えられているということは、生半可な対策では高得点を望めない、非常にシビアな試験であることを物語っています。
▼法務省専門職員の合格点は以下の記事でまとめています。
以上の3つの理由から、法務省専門職員の試験は、
- 競争が激しく(高い倍率)
- 対策に膨大な時間がかかり(広範な試験科目)
- 客観的にも得点しにくい(低い平均点)
という、総合的に見て非常に難易度の高い試験であると言えるでしょう。
法務省専門職員採用試験に合格するためのポイント
ここまで見てきたように、法務省専門職員は間違いなく難関試験です。
では、この高い壁を乗り越え、合格を勝ち取るためには、具体的に何が必要なのでしょうか。ここからは、合格者に共通する3つの重要なポイントを解説します。
1. 配点比率を意識した「計画的・戦略的」な学習
試験科目が広範囲にわたるからこそ、やみくもな学習は非効率です。
合格者は、どの科目が合否に大きく影響するか、その「配点比率」を強く意識して学習計画を立てています。
試験科目 | 矯正心理 専門職 | 法務教官 保護観察官 |
---|---|---|
基礎能力試験 | 2/11 | 2/10 |
専門試験(多肢) | 3/11 | 3/10 |
専門試験(記述) | 3/11 | 3/10 |
人物試験 | 3/11 | 2/10 |
この表から分かる通り、一次試験の合否を分けるのは、全体の半分以上の配点を占める「専門試験」です。特に、心理学や社会学といった専門分野の知識は、選択式だけでなく記述式でも問われるため、徹底的な対策が欠かせません。
まずは専門試験で確実に得点できる得意分野を確立し、その上で基礎能力試験の対策を進める、といった優先順位付けが合格へのポイントとなります。
2. 平均点の低さを乗り越える「基礎の徹底」
「理由3」で見たように、法務省専門職員の基礎能力試験は平均点が低く、多くの受験者が苦戦します。しかし、これは裏を返せば、ここで安定して得点できれば、他の受験者と大きな差をつけられるということです。
奇抜な問題や難問を解く力よりも、「数的処理」「文章理解」といった誰もが対策する分野で、確実に正解を積み重ねる基礎力が何よりも重要になります。
平均点が低いからといって恐れる必要はありません。毎日少しずつでも問題に触れ、苦手分野を潰していく地道な努力が、一次試験突破の大きな力となります。
▼基礎能力試験の傾向や勉強方法は以下の記事で解説しています。
3. 「なぜ法務省専門職員か」を問う二次試験対策
高い倍率を勝ち抜くには、一次の筆記試験だけでなく、最終関門である二次試験(人物試験・面接)を突破しなければなりません。
配点比率を見ても、人物試験が全体の2〜3/11を占めており、その重要性は明らかです。
面接官は、あなたの知識量だけでなく、その人柄や志望動機を深く見ています。
- なぜ、数ある公務員の中でも「法務省専門職員」なのか?
- 採用されたら、どのような形で社会に貢献したいのか?
こうした問いに、自分の経験に基づいた説得力のある言葉で答えられるよう、早期からの自己分析が不可欠です。
自分がなぜこの仕事に惹かれるのかを深く掘り下げ、それを言語化する練習を重ねておきましょう。
筆記試験の対策と並行して、二次試験を見据えた準備を進めることが、最終合格をぐっと引き寄せます。
法務省専門職員採用試験の難易度まとめ
今回は、法務省専門職員の難易度について、3つの客観的なデータをもとに解説しました。
- 理由1:高い競争率 全体の倍率は4.2倍、最難関の「矯正心理専門職B」では7倍を超える狭き門です。
- 理由2:広範な試験科目 心理・教育・福祉・社会学といった幅広く深い専門知識に加え、記述式の試験もあり、学習負担が大きいのが特徴です。
- 理由3:客観的な得点しにくさ 他の専門職と同じ教養試験で平均点が際立って低いという事実は、この試験の難しさの客観的な証明と言えます。
これらのデータから分かる通り、法務省専門職員は、国家公務員試験の中でも間違いなく難関です。
合格するためには、配点比率を意識した戦略的な学習計画と、ライバルに差をつけるための徹底した基礎固め、そして「なぜこの仕事がしたいのか」を突き詰める早期の面接対策が不可欠です。
本気で目指す覚悟が決まったなら、あとは正しい戦略で努力を続けるだけです。頑張っていきましょう!
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