海上保安学校の面接試験は、筆記や身体検査に比べて配点が低く、軽視されがちな傾向にあります。
しかし実際には、一定の基準を下回った場合には筆記が良くても不合格になることがある、重要な選考種目です。
本記事では、海上保安学校の面接における評価の観点、面接カード(志願書)の書き方、実際に問われる質問例とその対策までを網羅的に解説しています。
確実に合格するために必要な準備が何かを明確にし、効率的に対策を進めたい方はぜひ参考にしてくださいね。

面接試験の概要
海上保安学校の採用試験において、面接試験の配点は全体の10%程度しかありません。
一見すると「そこまで重要ではない」と感じるかもしれません。しかし実際は、面接での評価が合否に直結するケースも少なくありません。
なぜなら、この面接は「合格者を選ぶ試験」というよりも、“不適格者を見極める場”という性質を持っているからです。
面接は「落とすため」の手段
海上保安学校では、捜索救助・警戒監視など、極めて高度で責任の重い任務を担うことになります。
そのため、どれだけ筆記試験の点数が高くても、以下のような印象を面接で与えると、不合格となるリスクが高くなります。
- 返答が曖昧で志望理由が浅い
- チームワークや協調性に欠ける印象がある
- 緊張に極端に弱い、言葉遣いが乱れている
- 海上保安官への理解が乏しい・動機が弱い
このように、「一定の基準を下回ったら即アウト」となる可能性があるのが海上保安学校の面接です。
面接形式と試験時間
実施形式 | 個人面接 |
---|---|
試験時間 | 20分程度 |
面接官 | 3人 |
配点比率 | 一般課程(特別含む):1/4 航空課程他:2/8 |
内容 | ○志望動機 ○自己PR ○チームワーク経験 ○ストレス対応力 ○海上保安官への理解 など |
過去の受験者の中には、「筆記がよくできたから受かると思ったのに、面接で落ちた」という声も珍しくありません。
面接は確かに配点は高くありませんが、「最低ラインに満たなければ即失格」となる場合があるため、筆記重視とはいえ無対策では危険と言えるでしょう。
面接で重視される評価ポイント
海上保安学校の面接では人事院の面接票定評に基づき、以下の5つの観点から受験者の適性が評価・判断されます。
①積極性
- 率先してことに当たろうとするか,周りに頼ろうとするところはないか
- 必要な自己主張ができるか,優柔不断なところはないか
- 熱意や意欲を持ってものごとに取り組むか,気力が乏しいところはないか
「何となく応募しました」「やってみたいと思ったから」など、動機が弱いと“気力が乏しい”と見なされる恐れがあります。

志望動機やエピソードを通じて、「率先して行動した経験」「挑戦を恐れず取り組んだ姿勢」を示しましょう。
②堅実性
- 誠実に物事に向き合っているか
- 困難な状況でも継続して努力できるか
- 組織の一員として行動できるか
過去の失敗談を語るだけで、反省や再発防止の姿勢が見えないと「軽薄」と受け取られます。



継続的な努力、課題にどう取り組んだかなどを具体的に話し、“地道にやり抜く人間”であることを伝えましょう。
③判断力
- 状況に応じて適切に判断できるか
- 注意深く行動できるか
- 慌てず冷静に考えられるか
突発的な質問に対して場当たり的に答える、質問の意図を読み違えるなど。



「過去に瞬時の判断が求められた経験」や「状況を分析して行動した事例」を交えて、落ち着きと論理性を示しましょう。
④表現力
- 質問に対して一貫した答えができているか
- 論理が通っていて矛盾がないか
- 話の構成が明快かつ分かりやすいか
言いたいことがまとまらず、質問に対する答えになっていない。



質問の意図を正確にとらえ、PREP法(結論→理由→具体例→まとめ)などのフレームワークで構成する練習をしておきましょう。
⑤態度
- 応答中の姿勢や所作が整っているか
- 緊張しても動揺せず対応できるか
- 受け答えに誠意と安定感があるか
猫背・貧乏ゆすり・目線を合わせないなど、態度面でマイナス印象を与える。



模擬面接などを通じて、自分の非言語表現(表情・姿勢・声のトーン)を客観的にチェックし、改善しておきましょう。
面接カードの重要性
海上保安学校の面接試験では、面接官が参考にする主な資料に面接カードがあります。
これは単なる提出書類ではなく、面接で聞かれる質問内容の出発点であり、あなたの第一印象そのものになります。
記載内容は面接で深掘りされるため、記述の一貫性と根拠あるエピソードが求められます。
提出時期と注意点
提出期日 | 第2次試験で提出。 面接カードは第1次試験の合格発表時に人事院のHPからダウンロードする。 |
---|---|
記入方式 | 所定の様式に入力(手書きも可能) |
注意点 | 変換ミスや誤記を防ぐため、提出前に必ず下書きを完成させておくことが重要 |
面接カードの内容


フォーマットは年度によって若干変わることがあります。最新版を確認し、配布される指定様式に必ず記入しましょう。
面接カードの書き方
1. 面接で「聞かれても困らない内容」を書く
面接官は面接カードを見て、そこに書かれている内容を深掘りしてきます。つまり、書いたこと=「聞かれてもいい」と思われる前提で臨むべきです。
- これ、説明を求められても大丈夫?
- 自分の言葉でちゃんと補足できる?
- 書いたエピソードと志望動機に矛盾はない?
2. 書きすぎ注意! 余白も大切
「たくさん書いた方がアピールになる」と思われがちですが、実は逆です。あえて余白を残すことで、面接官の関心を引き出す仕掛けになります。
学生時代、空手部で主将を務めました。対立する意見をまとめながら、チームとして勝利を目指した経験は、今でも大切な財産です。
→「どんな対立があったの?」「どうやってまとめたの?」と質問が生まれやすくなります。
3. 面接との一貫性を意識する
面接カードと実際の回答に矛盾やブレがあると評価は一気に下がります。あらかじめ、面接カードに書いた内容に沿って「聞かれそうな質問リスト」を作り、想定問答を準備しておきましょう。
- 志望動機の中核となる「きっかけ・理由・展望」を統一
- 自己PRで挙げた強みは、実体験とセットで語れるようにする
- 「短所」を書いた場合は、その克服方法も答えられるように準備
「志望動機がうまくまとまらない…」
「自己PRで何を書けばいいか分からない」
そんな不安を感じている方のために、面接カードの添削や個別アドバイスが受けられるnoteをご用意しています。
このnoteでは以下のような内容を掲載しています:
- 過去に実際に出た質問内容一覧
- 面接カード添削
- 自己PR・志望動機の相談やアドバイス
面接の通過率を高めたい方、自分の志望理由に納得感を持たせたい方にオススメの1冊です。
(特別) (一般課程・航空課程他)面接試験の過去問(質問)
海上保安学校の面接では、受験者の人間性・適性・志望動機などを多角的に評価するため、ある程度パターン化された質問が出題されます。
ここでは、実際に出た質問例を紹介します。
特別(5月試験)
- 自己PRをしてください。
- 今までに挑戦したことを1つ教えてください。
- 好きな学科は何ですか。
- 高校では、何か委員会に所属していましたか。
- 部活動は何をやっていましたか。
- 志望動機をいってください。
- 第一希望のコースとその選んだ理由を言ってください。
- 志望する管区とその理由を教えてください。
- 管区とコースではどちらを優先しますか。
- 試験に不合格だったらどうしますか。
- 海上保安官の具体的な仕事内容を知っていますか。
- どのような仕事がしたいですか。
- 海上保安官のイメージを言ってください。
- 海上保安学校は厳しいですが、大丈夫ですか。
- 第十管区はどこにあるか知っていますか。
- 緊張していますか。
- 就職での面接は初めてですか。
- 合格通知に同封していた手引きはしっかり読みましたか。
- 海上保安庁のニュースで知っていることはありますか。
- 最近の関心事を教えてください。
- 最近気になるニュースとそれに対する意見を教えてください。
面接対策の中で最も不安になりやすいのが、「質問にどう答えたらよいか分からない」という点です。
そんな不安を感じている方のために、個別アドバイスが受けられるnoteをご用意しています。
このnoteでは以下のような内容を掲載しています:
- 過去に実際に出た質問内容一覧
- 面接カード添削
- 自己PR・志望動機の相談やアドバイス
「自分の言葉で伝えたい。でも、どう伝えるかが不安」という方は、ぜひ活用してみてください。
一般、航空課程他(9月試験)
- 志望動機を教えてください。
→なぜ〇〇課程を志望したのですか。 - 高校を卒業してから何をしていますか。
→大学へ進学しなかった理由は何ですか。 - 希望管区は決まっていますか。
→その理由はなぜですか。
→希望する管区に行けない場合はどうしますか。 - 今までの人生で一番印象に残っている経験はなんですか。
- 高校生活で一番の思い出は何ですか。
→そのときの出来事から何を学びましたか。 - 趣味はありますか。
→いつからやっていますか。 - 今後勉強してみたいことはありますか。
→なぜ英語を勉強したいと思ったのですか。
→英語を活かしてどんな仕事をしたいですか。 - 採用されたら希望する管区はありますか。
→第二希望、第三希望はどこですか。 - 志望動機をいってください。
→もう一度、自分の言葉で志望動機を言ってください。 - 海上保安庁の仕事はいつ知りましたか。
→興味をもったのも同じ時期ですか。
→どうやって調べましたか。
→いつから海上保安庁を目指していますか。 - 学生生活で印象に残っている出来事を教えてください。
- 最近関心のある出来事はありますか。
→なぜそれに関心をもったのですか。
→ほかにありますか。 - 海上保安庁のYoutubeを見たことはありますか。
→見てどう思いましたか。
→印象に残っている映像はありますか。 - 趣味と特技を教えてください。
→趣味をやっていて苦痛に感じたことはありますか。 - 長所は何ですか。
→もう少し具体的に教えてください。 - 今までの成功した経験は何がありますか。
→反対に失敗したことは何ですか。 - 最後に何か言いたいことはありますか
面接対策の中で最も不安になりやすいのが、「質問にどう答えたらよいか分からない」という点です。
そんな不安を感じている方のために、個別アドバイスが受けられるnoteをご用意しています。
このnoteでは以下のような内容を掲載しています:
- 過去に実際に出た質問内容一覧
- 面接カード添削
- 自己PR・志望動機の相談やアドバイス
「自分の言葉で伝えたい。でも、どう伝えるかが不安」という方は、ぜひ活用してみてください。
(一般課程・航空課程他)面接試験の対策
海上保安学校の面接対策を始めるときの手順を解説します。
①過去の経験から自己PR・志望動機を考える
自己PR | あなたの強み、長所と短所、趣味や特技など、自分自身の特性を明確に表現しましょう。過去の経験から得たスキルや成果を具体的なエピソードと共に説明することが大切です。 |
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志望動機 | 海上保安官や公務員を目指す具体的な理由を深掘りしてください。海上保安官になりたいと思った背景や、実現したい目標、社会への貢献など、熱意を感じさせる内容を整理しておきましょう。 |
面接では、この2つを派生させた質問が問われます。逆に言うと、この2つをしっかり作り込んでおけば面接対策の80%は完成です。
それだけ重要なので、時間をかけて作り込みましょう。
②定番の質問内容を把握する
面接試験で問われる定番質問を把握しましょう。
なぜなら、筆記試験のように面接試験にも傾向があるからです。
- 基本的な質問事項が多いのか
- 時事的な質問は聞かれるのか
- 専門的な(海上保安業務に特化した)質問はあるのか
このような傾向を把握しておけば、面接の準備を効率よく進めることができます。
たとえば、「自己PRをしてください」や「志望動機は何ですか?」のような一般的な質問が多ければ、書店に売っている参考書を読み込んで対策できます。
一方で、「公安系公務員の中でも海上保安官を志望する理由は?」や「成人年齢の引き上げについてどう思いますか?」といった専門的、時事的な質問が多ければどうでしょうか?
このような海上保安官に関連した質問や時事的な質問が多ければ、仕事内容や組織、社会情勢についても深く知っておく必要がありますよね。
無駄な時間を過ごさないためにも、よく出る定番質問に目を通し、傾向を押さえておきましょう。
③模範回答を練る
定番質問をもとに回答を作成しましょう。
回答を作るときのポイントは、結論+理由(根拠)+具体例(体験談)のセットで考えること。
たとえば、「あなたの長所は何ですか」と聞かれたら何と回答しますか?
- 「リーダーシップが取れる」
- 「責任感がある」
- 「計画的に行動できる」
これくらいなら、少し考えれば回答できると思います。
では、なぜ「それが長所なのですか?」とか、「どんなときに長所を活かせましたか」と理由や経験を聞かれたどう回答しますか?
何も考えていなければ、スラスラ答えることはできないと思います。しかし、面接官が一番聞きたいのは、ココ(理由や経験)なんですよね。自分の回答に対して論理的に答えられないと評価は上がらないのです。
ぜひ、時間をかけて自分自身をきちんと理解(自己分析)してください。
「志望動機がうまくまとまらない…」
「自己PRで何を書けばいいか分からない」
そんな不安を感じている方のために、面接カードの添削や個別アドバイスが受けられるnoteをご用意しています。
このnoteでは以下のような内容を掲載しています:
- 過去に実際に出た質問内容一覧
- 面接カード添削
- 自己PR・志望動機の相談やアドバイス
面接の通過率を高めたい方、自分の志望理由に納得感を持たせたい方にオススメの1冊です。
(特別) (一般課程・航空課程他)④人に話す練習をする
ある程度、話す内容を考えたら第三者に聞いてもらいましょう。
自分で考えていることを分かりやすく伝えるのは難しいからです。
僕自身、毎年多くの自己PRや志望動機を見たり、聞いたりしますが、初っ端から理解できる内容はほとんどありません。せっかく面接カードに良い内容を書いているのに、自分の言葉で伝えられずに損している人を多く見てきました。
面接は、あなたの発言内容を聞いて第三者である面接官が客観的に評価します。なので、どんなにいいことを発言しても伝わらなければ意味がないのです。
恥ずかしがらずに自分の言葉でスラスラ喋れるまで練習してください。
⑤模擬面接は最低1回受ける
最後は、模擬面接を受けて実践力を鍛えましょう。
- 本番特有の緊張感
- 回答に困る深掘りポイント
- 客観的な評価
このように1人で面接練習をしていては気が付かない部分がたくさん発見できるからです。
練習相手は友達や家族でもいいですが、できるだけ経験者(予備校やその道のプロ)にもみてもらってください。
面接試験の対策まとめ
今回は、海上保安学校における面接試験の概要・傾向から対策方法まで網羅的に解説してきました。
- 面接は全体の10〜20%の配点ですが、一定の基準を満たさなければ即不合格となることもある重要な試験です。
- 評価は「積極性」「堅実性」「判断力」「表現力」「態度」の5つの観点に基づいて行われます。
- 面接カードと実際の受け答えに一貫性があるか、志望理由に説得力があるかが鍵。
- 過去の質問例をもとにした想定問答、模擬面接での場慣れなど、“自分の言葉で伝える練習”が面接突破への最短ルートです。
面接は配点以上に重い試験です。油断せずに準備を始めましょう。
「志望動機がうまくまとまらない…」
「自己PRで何を書けばいいか分からない」
そんな不安を感じている方のために、面接カードの添削や個別アドバイスが受けられるnoteをご用意しています。
このnoteでは以下のような内容を掲載しています:
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面接の通過率を高めたい方、自分の志望理由に納得感を持たせたい方にオススメの1冊です。
(特別) (一般課程・航空課程他)
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