刑務官採用試験の作文試験を解説します!
- 作文試験の文字数は?何文字書けばいいんだろう…。
- 作文試験はどんなテーマが出るの?模範解答は?
- 作文試験の書き方(対策方法)が知りたいな…。
このような悩みや不安をお持ちなのではないでしょうか。
刑務官採用試験の作文は、ただテーマに沿って文章をダラダラ書くだけでは評価されません。正しい型や評価ポイントを理解して対策することで、合格基準に達する答案を書くことができるのです。
そこで本記事では、刑務官採用試験の作文について以下の3点をまとめています。
- 作文試験の内容(試験時間、文字数、評価基準)
- 作文試験のテーマと模範解答
- 作文試験の書き方(対策方法)
この記事に書かれていることを実践すれば、あなたの作文試験への不安は自信に変わりますよ。
▼その他、刑務官採用試験の内容はこちら!
【刑務官採用】作文試験の内容
刑務官採用試験における作文試験の内容を簡単に説明します。
試験時間・文字数
作文試験の概要は次のとおりです。
| 実施日 | 第1次試験 |
|---|---|
| 試験時間 | 50分 |
| 問題数 | 1題 |
| 文字数 | 制限なし *原稿用紙は上限600字 |
| 配点比率 | 合否判定のみ |
注目すべきは「配点比率」ですね。「合否判定のみ」と聞くと、あまり重要ではないように感じるかもしれません。
しかし、これは大きな誤解です。
作文試験には「足切りライン」が設定されており、内容や文字数が基準に達していない答案は、その時点で不合格となってしまいます。
たとえ、他の筆記試験で満点を取っていても、作文試験で足切りされてしまえば元も子もありません。
文字数は最低でも8割(500字程度)は書くように心がけましょう。



文字数が極端に少ないと、「意欲が低い」「テーマについて考える力がない」と判断されかねないからですね。
評価基準は「内容」「表現」「文字」の3観点
では、どのような答案が「合格」と判断されるのでしょうか。
評価基準は、公表されている以下の3つの観点で行われます。
| 内容 | ・課題(テーマ)を正しく理解し、それに沿った内容になっているか。 ・自分の経験や考えが具体的に書かれており、中身のある文章か。 ・独りよがりな意見ではなく、公務員を目指す者としてふさわしい考え方か。 |
|---|---|
| 表現 | ・文章の構成(序論・本論・結論など)が分かりやすいか。 ・一文が長すぎず、主語と述語が明確で読みやすいか。 ・誤った言葉遣いや、不適切な表現がないか。 |
| 文字 | ・誤字・脱字が多すぎないか。 ・字体は丁寧で、読みやすく書かれているか。 |
簡単に言えば、「テーマに沿って、自分の体験を交えながら、分かりやすく丁寧な文章で書けているか」が評価のポイントです。
字の上手い・下手は関係ありません。誰が読んでも内容がスッと頭に入るような、丁寧な文章を心がけることが何より大切です。
【刑務官採用】作文試験の過去問(テーマ)
作文対策の第一歩は、敵を知ること、つまり「過去問」を知ることから始まります。
ここでは、過去10年分の出題テーマを一挙に公開し、その傾向を分析していきます。どのようなテーマが問われてきたかの全体像を掴むことで、的確な対策を立てることができますよ。
2025(令和7)年実施
社会人として自身に求められている役割について
2024(令和6)年実施
コミュニケーションの中で心掛けていること
2023(令和5)年実施
組織の一員として、失敗をしてしまったら
2022(令和4)年実施
人に寄り添うということ
2021(令和3)年実施
人から信頼されるために 大切にしていることは何か
2020(令和2)年実施
ルールの必要性について
2019(令和元)年実施
再犯を防止するということ
2018(平成30)年実施
犯罪を社会から減らすためには
2017(平成29)年実施
公務員に求められること
2016(平成28)年実施
今の私と将来の私
▼各テーマの解説や模範解答はこちら!
【刑務官採用】作文試験の模範解答例
ここでは、過去のテーマ題材に、「テーマの解釈」から「構成の組み立て方」、「すぐに使える模範解答」までをセットで徹底解説します。
この解説を読み、自分の経験に置き換えて考える練習を繰り返すことで、あなたの作文力は飛躍的に向上しますよ。
テーマ(2014年実施)
正直さが求められるとき
解説
このテーマでまず考えるべきは、「正直さが求められるとき」とは、具体的にどのような状況か、ということです。
それは、正直でいることが心地よく、何の利益も損なわない時ではありません。むしろ、正直でいることに痛みや不利益が伴う、困難な状況でこそ、その価値が真に問われます。
観点
正直さが試される具体的な場面として、自分のミスや失敗を報告しなければならない時や、たとえ相手のためであっても厳しい真実を伝えなければならない時などが挙げられます。
これらの状況に共通するのは、保身や恐怖心、あるいは安易な同情といった、正直さを妨げる心の働きです。
したがって、論点としては「正直さが真に求められるのは、自分の過ちを認めたり、不正を正したりするなど、短期的な不利益や精神的な痛みを伴う場面である。しかし、その困難を乗り越える勇気こそが、揺るぎない信頼関係を築き、最終的に自分自身と組織を成長させる」という方向で設定するのが良いでしょう。
この正直さは、些細な隠蔽が大きな不信や事故に繋がりかねない刑務官の職務において、絶対不可欠な資質であることを、最終的に結びつけます。
模範解答例
正直であることは、円滑な人間関係を築く上で基本となる姿勢だ。しかし、その価値が真に問われるのは、保身や恐怖心から嘘をつきたくなるような、自分にとって都合の悪い真実と向き合う時だと私は考える。
私は高校の図書委員として、誤って貴重な蔵書の一部を破損してしまったことがある。誰にも気づかれずに棚へ戻すこともできる、という考えが一瞬頭をよぎった。しかし、一時的な保身のために嘘をつくことは、図書委員としての責任を放棄し、何より自分自身を裏切る行為だと強く感じた。私は勇気を出し、担当の先生に事実を正直に報告し、心から謝罪した。先生は私を注意したが、同時に「正直に話してくれてありがとう。その勇気が一番大切だ」と言ってくださった。この言葉に、私は救われる思いがした。
この経験から、正直であるためには、時に自分の過ちと向き合う痛みを乗り越える勇気が必要であり、その勇気こそが長期的な信頼の礎となることを学んだ。刑務官の職務は、常に人々の信頼の上に成り立っている。自分の判断ミスや、見て見ぬふりをしたくなるような些細な規律違反。そうした自分にとって都合の悪い場面でこそ、私は正直でありたい。その誠実な姿勢の積み重ねが、受刑者や同僚からの揺るぎない信頼を築き、社会の安全を守るという重責を全うする力になると信じている。(551文字)
▼過去問の模範解答例は以下の記事でも解説しています。
【刑務官採用】作文試験の書き方4ステップ
合格レベルの答案を見て、「自分にも書けるだろうか…」と不安に思ったかもしれません。
でも、大丈夫です。正しい手順でトレーニングを積めば、誰でも論理的で説得力のある文章が書けるようになります。
ここからは、あなたの作文力を合格レベルまで引き上げる、鉄板の4ステップをご紹介します。
1. 構成の「型」をマスターする
まず、我流で書き始めるのはやめましょう。
作文には、誰が読んでも分かりやすい「黄金の型」が存在します。それが「序論 → 本論 → 結論」の三段構成です。
- 序論:テーマに対する自分の考えを一行でズバリと示す。「私は~と考える。」
- 本論:なぜそう考えるのかを、具体的な経験やエピソードを交えて説明する。文章の核となる部分。
- 結論:本論を要約し、自分の考えを改めて強調。最後は公務員としての抱負に繋げる。
この「型」を意識するだけで、あなたの文章は驚くほど論理的になります。まずは市販の参考書を1冊読み込み、この基本の型を頭に叩き込みましょう。
2. 書く材料(経験)を棚卸しする
作文の型を学んだら、次はその型に流し込む「材料」を集めます。
これが自己分析です。あなたの主張に説得力を持たせるのは、あなた自身のオリジナルな経験に他なりません。
過去問の3つの型(①自己分析・経験型、②社会関心・未来志向型、③職業倫理・心構え型)を参考に、以下の経験をノートに書き出してみてください。
- 部活動やサークル活動で、困難を乗り越えた経験
- アルバイトで、お客様や仲間との信頼関係を築いた経験
- 学校行事やボランティアで、仲間と協力して何かを成し遂げた経験
- 日々のニュースを見て、社会のために自分に何ができるか考えた経験
この「経験の棚卸し」は、面接試験対策にもそのまま繋がる非常に重要な作業です。早めに取り組んでおきましょう。
3. 時間を計って、とにかく書く
「型」と「材料」が揃ったら、いよいよ実践です。本番と同じ「50分」という時間を計り、過去問を使って実際に作文を書いてみましょう。
このとき、以下のような時間配分を意識すると効果的です。
- 構成を考える(5~10分):いきなり書き始めず、序論・本論・結論に何を書くか簡単なメモを作る。
- 執筆(35~40分):メモに従い、一気に書き上げる。
- 見直し(5分):誤字・脱字がないか、不自然な表現はないか最終チェックする。
初めは時間内に書き終えられないかもしれませんが、心配いりません。何度も繰り返すうちに、必ずスピードと質は向上します。
4. プロの添削で客観的な評価を得る【最重要】
これが最も重要なステップです。自分で書いた作文を、自分だけで評価するのは不可能です。
独学の最大の落とし穴は、自分の文章の欠点に気づけないことにあります。
書きっぱなしは、答え合わせをせずに問題集を解き続けるのと同じです。書いた作文は必ず僕(江本)や学校の先生、予備校講師など第三者に見てもらいましょう。
- 「自分の考えは、ちゃんと相手に伝わっているか?」
- 「テーマからズレていないか?」
- 「もっと良い表現はないか?」
こうした客観的なフィードバックを得て、改善する。
このサイクルを繰り返すことで、初めてあなたの作文は「合格レベル」に到達するのです。
▼添削・指導が必要な方はこちら!
まとめ:【刑務官採用】作文試験で落ちないために
今回は、刑務官採用試験における作文試験の内容や過去問&模範解答例、具体的な書き方まで網羅的に解説しました。
作文試験は、やるべきことが想像しているよりも多いです。
過去問を眺めるだけでは、作文試験を攻略することはできません。過去問を使って答案を作成し、その上で添削を受けることで徐々に上達します。
作文試験で落ちる人ほど、書いたら書きっぱなしってことが多いです。答案を書いて誰にも見せないというのは、問題を解いても答え合わせをしないのと同じなので注意しましょう。
作文試験が原因で不合格にならにように、早めに(遅くても試験の3ヶ月前を推奨)準備を始めてください。
もし一人での対策に困ったり、不安を感じたりしたときは、遠慮なく僕を頼ってほしいです。あなたが合格できるよう、全力でサポートします!
▼作文試験の個別コーチングは以下の記事をご覧ください。
