国税専門官採用試験をはじめ、公務員試験の筆記試験に苦労している受験者は多いです。
とくに、本記事で解説する基礎能力試験(教養試験)は、出題科目・出題範囲ともに膨大のため、「なにから」勉強すればいいか悩んでいる人ばかり。
そこで本記事では、国税専門官採用試験の基礎能力試験を効率よく勉強できるように、出題傾向や対策方法を具体的に解説します。
基礎能力試験の勉強方法や出題傾向を詳しく知りたい方にとって、合格に向けた準備を万全にすることができるでしょう。
ぜひ最後までお読みいただき、成功への一歩を踏み出してください。
▼国税専門官の難易度は、以下の記事で確認してください。
【国税専門官】基礎能力試験の概要
本格的な科目別の対策を始める前に、まずは「基礎能力試験」がどのような内容で行われるのか、その全体像をしっかり確認しておきましょう。
基本情報を頭に入れておくだけで、学習計画がぐっと立てやすくなりますよ。
項目 | 内容 |
---|---|
実施 | 第一次選考試験 |
試験時間 | 110分 |
問題数 | 30問 |
難易度 | 大学卒業程度 |
出題形式 | 五肢択一式(マークシート) |
この中で、特に重要なポイントが2つあります。
一つ目は、「30問全問が必須解答」であるという点です。
公務員試験の中には、一部の問題を選択して解答できる形式もありますが、国税専門官採用試験ではそれができません。つまり、どの科目からも逃れることはできず、幅広い知識が求められるということです。
二つ目は平均点です。
令和7年度採用試験の平均点は「18.005点」でした。全受験者の平均点ですから、合格するにはこれ以上の正答が求められるということです。
つまり、30問中19問以上の正解が、一次試験突破に必要となりますね。もちろん、年度による難易度の変動も考慮すると、安定して7割(21問以上) を得点できる実力をつけておくのが理想です。
【国税専門官】基礎能力試験の科目別の出題数一覧
基礎能力試験の全体像が掴めたら、次はいよいよ科目ごとに出題傾向を分析し、勉強の優先順位を決めていきましょう。
以下の表は、過去3年間の科目別出題数をまとめたものです。これを見れば、どこに力を入れて勉強すべきかは一目瞭然ですね。
知能分野(計24問)
科目 | 2025年 | 2024年 | 2023年 |
---|---|---|---|
数的推理 | 4 | 4 | 5 |
判断推理 | 6 | 6 | 6 |
空間把握 | 1 | 1 | 2 |
資料解釈 | 3 | 3 | 3 |
現代文 | 6 | 6 | 6 |
英文 | 4 | 4 | 5 |
知識分野(計6問)
科目 | 2025年 | 2024年 | 2023年 |
---|---|---|---|
時事 | 5 | 5 | 4 |
情報 | 1 | 1 | – |
この表から分かる通り、全30問のうち24問(80%)が「知能分野」から出題されます。特に、数的処理(判断・数的・空間・資料解釈)と文章理解(現代文・英文)で、ほぼ全ての点数が決まると言っても過言ではありません。
【国税専門官】基礎能力試験の勉強方法
国税専門官採用試験の基礎能力試験の勉強は、次の手順に沿って行います。
効果的な学習計画を立てる
基礎能力試験の勉強を始める前に、まずは具体的な学習計画を立てることが大切です。
試験日までの期間を逆算し、毎日の学習時間や学習内容をスケジュールに組み込みましょう。
例:週の学習スケジュール
- 月曜日〜金曜日:毎日1〜2時間、一般知能科目と苦手科目を交互に学習
- 土曜日:月〜金の復習と得意科目を解く
- 日曜日:予備日(休日)月〜土でできなかったことがあれば行う

定期的に休憩を取り、リフレッシュしましょう。
参考書や問題集を揃える
効率的な勉強には、質の高い参考書や問題集を使用することが重要です。
基礎能力試験の対策で、おすすめの参考書と問題集は次のとおり。
おすすめの参考書・問題集
畑中敦子シリーズ
理系科目が苦手な人は取り組む価値のある参考書です。数的推理や判断推理、資料解釈について最もスタンダードな問題からやや応用レベルの問題まで、段階的にマスターできるように構成しております。
数学が不得意な方でも、解法パターンやテクニックを覚えることで、得意分野にすることは十分可能がコンセプト。
初めは解説を読んで解法をマスターし、それから自力で解けるようになるまで、繰り返し、手を動かして問題を解いてみてください!


スーパー過去問シリーズ
実務教育出版が監修している”上級者向け”の参考書です。
要点が絞られており問題+解説という構成で勉強しやすい。
情報量はやや少なめなので、ある程度知識のある方や一通り勉強を終えた方には最適ですが、まったくの初心者がこれ1冊だけで試験に臨むのはリスクが高いかもです。


速攻の時事 トレーニング
公務員試験の時事分野に特化した定番シリーズ『速攻の時事』に連動する形で作られた問題集です。これまでの試験で取り上げられたテーマや出題傾向を分析し、今後の出題を見据えた練習問題として体系的に整理されています。
各分野ごとに「覚えておきたいポイント」をまとめたページも設けられており、重要事項をスピーディーに押さえながら実戦演習が進められるのが特長です。
時事対策は性質上、過去問がほとんど存在せず、一般的には参考書中心の学習になりがちです。
そのため、実践形式で知識を固められる教材としては、『速攻の時事 トレーニング』が非常に貴重な存在と言えるでしょう。


出題数(配点)の多い科目から勉強する
効率的な勉強をするためには、試験の出題傾向を理解しましょう。
そうしないと、どの科目から手をつければいいか判断できないからです。
上記で紹介した出題数一覧を見ればわかりますが、全科目から均等に出るわけではありません。
まずは、出題数が多く、理解に時間がかかる数的推理や判断推理から勉強を始めることが重要です。
出題頻度の高い分野から覚える
過去問題の分析結果をもとに、出題頻度の高い分野から優先的に勉強しましょう。
これにより、効率よく点数を稼ぐことができます。
優先的に勉強する分野
たとえば、判断推理の出題範囲は次のようになっています。


- 受験者の報告データをもとに作成。
- 上記は僕自身の解釈であり、公式発表されたものではありません。
まずは、出題頻度の高い位置関係や対応関係から重点的に覚えるのが効果的です。出題頻度の低い分野の勉強に時間を割く必要はありません。
頻出度の高い分野をしっかりと抑えた後、その他の分野を補完的に学習することで、全体的な理解を深め、試験に万全の態勢で臨むことができます。
▼各科目の出題範囲を下記の記事で詳しく解説しています。
模擬試験で総復習する
模擬試験を活用することで、総合的な実力を確認しましょう。
本番と同じ形式で模擬試験を受けることで、試験の流れや時間配分を体験できます。
模擬試験の活用方法
模擬試験は、実際の試験と同じ条件(時間、形式)で行いましょう。
静かな場所で、試験時間内に問題を解くことで、本番の雰囲気を体感できます。
模擬試験を通じて、どの問題にどれだけの時間をかけるかを練習します。
特に一般知能分野に時間をかけすぎないように注意し、全体のバランスを意識しましょう。
模擬試験の結果を自己採点し、間違えた問題や時間が足りなかった問題を分析します。
「なぜ間違えたのか」、「どの知識があれば正解できたのか」などの原因を把握し、必ず復習することが重要です。



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【国税専門官】基礎能力試験に関するFAQ
国税専門官採用試験の基礎能力試験対策に関するよくある質問(FAQ)を紹介します。
国税専門官採用試験の過去問はどこで入手できますか?
国税専門官採用試験の過去問題は人事院の公式ホームページで公開されています。
人事院のホームページにアクセスし、「試験問題例」のセクションを探してください。そこから、過去問題をダウンロードすることができます。
本サイトでも、こちらの「国税専門官採用試験の過去問と効果的な活用方法」で3年分を掲載しています。過去問だけでなく、過去問の活用方法も詳しく解説しているので、併せて確認してみてください。
【国税専門官】基礎能力試験の対策方法まとめ
今回は、国税専門官採用試験の基礎能力試験の内容や勉強方法を解説しました。
基礎能力試験は、高校までにきちんと勉強してきた人からすればそれほど難しいわけではありません。
それなのに多くの受験者が悩んでいるのは、試験科目・範囲が膨大だからです。
基礎能力試験を効率よく勉強するには、出題範囲の理解(=過去問分析)がとても重要になります。闇雲に無駄な勉強をするのではなく、過去の出題傾向を軸に勉強しましょう。
この記事が少しでもお役に立てたら幸いです。最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
▼各科目の出題範囲を下記の記事で詳しく解説しています。
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