本記事は、労働基準監督官採用試験の中でも基礎能力試験に特化し、より深く掘り下げて解説します。
基礎能力試験の勉強方法や出題傾向を詳しく知りたい方にとって、合格に向けた準備を万全にすることができるでしょう。
ぜひ最後までお読みいただき、成功への一歩を踏み出してください。
【労働基準監督官】基礎能力試験の概要
基礎能力試験は、公務員(社会人)として必要な基礎学力や一般教養がどれくらい備わっているかを測る筆記試験です。
試験時間 | 110分 |
---|---|
問題数 | 30問 |
難易度 | 大学卒業程度 |
出題形式 | 五肢択一式(マークシート) |
基準点 | 9点 |
平均点 | 16.412点 |
配点比率 | 2/7 |
出題範囲 | 数的推理、判断推理、資料解釈、文章理解 一般知識(6問) 社会・人文・自然科学に関する時事、情報 | 一般知能(24問)
基礎能力試験を攻略するには、出題範囲をしっかりと理解し、計画的に学習を進めることが大切です。
点数を取れるようになるまでに多くの時間を要しますが、基礎能力試験で一定の点数を取ることが、最終合格するために必要不可欠となります。
全区分共通問題です!
【労働基準監督官】基礎能力試験の出題科目
基礎能力試験の出題科目は、思考力・判断力(計算力や読解力)を問う「一般知能分野」と、高校までに習った基礎学力を測る「一般知識分野」に大別されます。
- 一般知能分野
- 一般知識分野
一般知能分野
計算力や推理力、読解力を問う分野で、次の5科目から出題があります。
- 数的推理
- 判断推理
- 資料解釈
- 文章理解
数的推理
数学的な問題解決力を問う問題。方程式、確率、統計などが含まれます。
正解:1
数学的要素が強いため、苦手とする受験者は多いです。しかし、出題数が一番多い分野なので苦手のままだと詰みます。
苦手意識が強い人は、簡単な参考書で解法パターンを把握することから始めましょう。基礎をしっかり固めることで、徐々に応用問題にも対応できるようになります。
判断推理
論理的な思考力を問う問題。条件整理、論理パズル、順序問題などが出題されます。
正解:2
数的推理に比べると解きやすい問題は多いです。解法パターンを把握し、効率よく使えるように練習を繰り返しましょう。
資料解釈
データの読み取りや分析力を問う問題。グラフや表を使った問題が出題されます。
正解:2
時間をかければ正解できる問題は多いですが、時間をかけすぎると時間オーバーになってしまいます。
速く解く方法を勉強し、1日1~2問をきっちり解くことが大切です。
文章理解
日本語と英語で書かれた文章を読み解く力を測る分野で、現代文や英文から出題されます。
正解:5
問題は、大きく「趣旨・内容把握」「文章整序」「空欄補充」の3タイプに分けられます。
文章の段落構成や論理の流れを把握したりして正解を出します。
時間をかければ正解できる問題は多いです。しかし、解くのに時間がかかるので、時間配分に気をつけてください。
一般知識分野
高校までの基礎学力を測る分野で、以下の2領域で構成されています。
- 社会・人文・自然科学に関する時事
- 情報
社会・人文・自然科学に関する時事
日頃から新聞やニュースなどで取り上げられる社会問題に関する問題です。
正解:3
社会問題にアンテナを張っておけば、解ける問題も多くなります。
日常的に情報収集を心掛けましょう。
一般的な日本史や物理などの出題はありません!
情報
情報は、プログラミングやネットワーク、データベースの基礎知識について学習する科目です。
高校で共通必修科目になったことから2024年度に新設されました。
正解:2
コンピューターやネットワークの仕組み、データ分析などを学び、アルゴリズム(問題を解決するための手順・方法)やプログラミングの方法が出題範囲となります。
1問しか出ないので無理に勉強する必要はありません。優先度は低めです。
このように、幅広い科目・分野から出題されるのが特徴的です。
どの科目から手をつけるのか、どの分野は捨てていいのかなど、出題傾向(範囲)を理解し、効率よく勉強しましょう。
【労働基準監督官】基礎能力試験の過去問
労働基準監督官採用試験の過去問題は人事院の公式ホームページで公開されています。
人事院のホームページにアクセスし、「試験問題例」のセクションを探してください。そこから、過去問題をダウンロードすることができます。
本サイトでも、下記の記事で3年分を掲載しているので併せて確認してみてください。
【労働基準監督官】基礎能力試験の勉強方法
基礎能力試験の勉強は、次の手順に沿って行います。
効果的な学習計画を立てる
基礎能力試験の勉強を始める前に、まずは具体的な学習計画を立てることが大切です。
試験日までの期間を逆算し、毎日の学習時間や学習内容をスケジュールに組み込みましょう。
例:週の学習スケジュール
- 月曜日〜金曜日:毎日1〜2時間、一般知能科目と苦手科目を交互に学習
- 土曜日:月〜金の復習と得意科目を解く
- 日曜日:予備日(休日)月〜土でできなかったことがあれば行う
定期的に休憩を取り、リフレッシュしましょう。
参考書や問題集を揃える
効率的な勉強には、質の高い参考書や問題集を使用することが重要です。
労働基準監督官の対策で、おすすめの参考書と問題集は次のとおり。
おすすめの参考書・問題集
- note
- 畑中敦子シリーズ(ワニ本)
- スーパー過去問シリーズ(スー過去)
- 合格の500シリーズ
note
過去10年間の出題範囲一覧(基礎能力試験)と実施問題全問および解答を収録したオリジナルテキストです。
「どの科目・分野から勉強すればいいんだろう…。」「過去問をたくさん解きたいな…。」このような悩みを即解決できる1冊です。
これから勉強を始める方はもちろん、最後の総復習に活用するって使い方もできますよ。
畑中敦子シリーズ(ワニ本)
「数学や計算が無理!」という方にオススメの1冊です。
数的推理や判断推理、資料解釈について最もスタンダードな問題からやや応用レベルの問題まで、段階的にマスターできるように構成してあります。
数学が不得意な方でも、解法パターンやテクニックを覚えることで、得意分野にすることは十分可能がコンセプト。
計算が得意な人でも、解法を使えばより速く解くことができるようになるので持っておいて損ではないです。
初めは解説を読んで解法をマスターし、それから自力で解けるようになるまで、繰り返し、手を動かして問題を解いてみてください!
スーパー過去問シリーズ(スー過去)
実務教育出版が監修している”上級者向け”の参考書です。
要点が絞られており問題+解説という構成で勉強しやすい。
情報量はやや少なめなので、ある程度知識のある方や一通り勉強を終えた方には最適ですが、まったくの初心者がこれ1冊だけで試験に臨むのはリスクが高いかもです。
合格の500シリーズ
公務員試験の過去問数年分を集約した問題集です。
年別ではなく、科目別に編成されているため、勉強しやすい特徴があります。
国家専門職だけでなく、大卒程度なら問題レベル(内容)は同じなので、時間に余裕があればほかの職種も活用しましょう。!
解説も丁寧なので、正文化しながら読み進めるだけでもかなり効果がありますよ。
出題傾向を理解する
効率的な勉強をするためには、試験の出題傾向を理解しましょう。
そうしないと、どの科目から手をつければいいか判断できないからです。
過去の出題傾向
基礎能力試験の科目数は多いですが、全科目から均等して出題されるわけではありません(下記表参照)。
試験科目 | 2024 | 2023 | 2022 |
---|---|---|---|
数的推理 | 4 | 7 | 7 |
判断推理 | 7 | 6 | 6 |
資料解釈 | 3 | 3 | 3 |
現代文 | 6 | 6 | 6 |
英文 | 4 | 5 | 5 |
時事 | 5 | 4 | 3 |
情報 | 1 | – | – |
政治 | – | 1 | 2 |
経済 | – | 1 | 1 |
日本史 | – | 1 | 1 |
世界史 | – | 1 | 1 |
地理 | – | 1 | 1 |
思想 | – | 1 | 1 |
物理 | – | 1 | 1 |
化学 | – | 1 | 1 |
地学 | – | 1 | 1 |
- 各数字は科目ごとの出題数です。
- 上記は僕自身の解釈であり、公式発表されたものではありません。
まずは、出題数が多く、理解に時間がかかる数的推理や判断推理から勉強を始めることが重要です。
その他の科目は、あなたの学力や得手不得手で優先順位を決めましょう!
出題頻度の高い分野から覚える
過去問題の分析結果をもとに、出題頻度の高い分野から優先的に勉強しましょう。
これにより、効率よく点数を稼ぐことができます。
たとえば、時事の出題範囲は次のようになっています。(下図参照)。
お気づきの通り、経済関連の時事はほとんど出ていません。一方で、厚生や文部科学に関する時事は頻出なことがわかると思います。
このように、どの科目も出題率の高い分野を重点的に覚えることで、勉強時間を大幅に削減できます。
頻出度の高い分野をしっかりと抑えた後、その他の分野を補完的に学習することで、全体的な理解を深め、試験に万全の態勢で臨むことができます。
過去の出題範囲は下記記事で全科目のデータ公開しています。
模擬試験で総復習する
模擬試験を活用することで、総合的な実力を確認しましょう。
本番と同じ形式で模擬試験を受けることで、試験の流れや時間配分を体験できます。
模擬試験の活用方法
模擬試験は、実際の試験と同じ条件(時間、形式)で行いましょう。
静かな場所で、試験時間内に問題を解くことで、本番の雰囲気を体感できます。
模擬試験を通じて、どの問題にどれだけの時間をかけるかを練習します。
特に一般知能分野に時間をかけすぎないように注意し、全体のバランスを意識しましょう。
模擬試験の結果を自己採点し、間違えた問題や時間が足りなかった問題を分析します。
「なぜ間違えたのか」、「どの知識があれば正解できたのか」などの原因を把握し、必ず復習することが重要です。
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【労働基準監督官】基礎能力試験の勉強方法まとめ
今回は、労働基準監督官採用試験の基礎能力試験の概要や勉強方法を解説しました。
基礎能力試験は、高校までにきちんと勉強してきた人からすればそれほど難しいわけではありません。それなのに多くの受験者が悩んでいるのは、試験科目・範囲が膨大だからです。
基礎能力試験を効率よく勉強するには、出題範囲の理解(=過去問分析)がとても重要になります。
闇雲に無駄な勉強をするのではなく、過去の出題傾向を軸に勉強しましょう。
この記事が少しでもお役に立てたら幸いです。最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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