【2025年受験ガイド】航空管制官採用試験の難易度と試験内容

航空管制官採用試験の難易度

本記事では、「航空管制官を目指したい」「受験勉強を始めたばっかり」という人を対象に、航空管制官採用試験の難易度を徹底解説します。

結論から言えば、航空管制官になる(=試験に受かる)ことは思っている以上に難しいです。

今回は、大学を卒業したら航空管制官として働きたい方に向けて「受験マニュアル」を作る気持ちで書きました。最後まで読めば、採用試験の概要から合格に向けた準備まで行うことができますよ!

敵を知らずして対策を始めてしまうのは、正直無謀むぼうです。本記事を参考に航空管制官採用試験の合格に向けて着実に準備を進めていきましょう。

目次

航空管制官採用試験の難易度は?

結論から言えば、航空管制官採用試験の難易度は高く合格するのは・・・・・・簡単ではありません。

  • 倍率は高め
  • 試験問題は大学入試レベルが求められる
  • ボーダーラインは7割程度
  • 全員は合格できない
  • 人間性・コミュニケーション力が求められる

これを詳しく解説します。

倍率は高め

航空管制官採用試験の倍率は、他の公務員試験に比べて高い傾向にあります。

2024年に実施された令和6年度航空管制官採用試験の最終倍率は3.5倍でした。同じ国家専門職の国税専門官2.5倍や財務専門官2.8倍に比べて高いことがわかりますね。

国家専門職の倍率比較(令和5年度)
  • 航空管制官:3.5倍
  • 国税専門官:2.6倍
  • 財務専門官:2.8倍

倍率と難易度に直接的な相関性はありませんが、数値だけを見れば難易度は高いと言えるでしょう。

試験問題は大学入試レベルが求められる

基礎能力試験のレベルは高くありませんが、外国語試験は大学入試共通テスト〜大学二次試験レベルの学力が求められます。

また、ペーパーテストのみならず、英語による面接もあります。そのため、しっかり英語での会話ができるように練習をしておくことが大切です。

ボーダーラインは7割程度

航空管制官採用試験のボーダーラインが高い点も難易度の高さを証明しています。

受験年度や採用人数によって変動しますが、ボーダーラインは6割〜7割です。

同じ国家専門職でも、国税専門官や労働基準監督官は5割〜6割程度。これら試験と比較すれば、航空管制官のボーダーラインは高いことがわかるはずです。

試験内容は幅広く、それぞれの試験で6〜7割程度の点数が求められるので、難度は高めですね。

全員は合格できない

航空管制官採用試験は競争試験です。つまり、一定数の採用枠に対して、成績上位者から順に合格が決まるため、受験者全員が合格できるわけではありません。

資格試験(英検や漢検など)であれば偏差値の高い人が何人いても基準点を取れれば合格できますが、競争試験では偏差値の高い人たちよりも1点でも多くの点数を取らなければ合格できないのです。

江本

受験者の大半が東大生だったら勝てる気がしないですよね…。

人間性・コミュニケーション力が求められる

また、最終合格するには、知識や学力だけでなく、航空管制官(公務員)としての適性・資質や人間性(コミュニケーション能力)も必要です。

単純に筆記試験の点数を取れば合格できるものではなく、面接などによる人間性が重視されるため、努力がそのまま結果に結びつかない難しさがあるんですよね。

これまでの入学試験や資格試験では、知識を詰め込んでいれば合格できたものが、航空管制官採用試験では、能力を総合的に評価されるため単に知識を詰め込んでいるだけでは合格できないのです。

何かの試験に偏った対策をするのではなく、どの試験科目もバランスよく対策しましょう。

航空管制官採用試験の内容

航空管制官採用試験は一次試験〜三次試験の3段階選考となっています。

航空管制官採用試験の内容一覧(2024年度)
試験内容配点比率
一次試験基礎能力試験$$\frac{2}{12}$$
適性試験$$\frac{2}{12}$$
外国語試験
(聞き取り)
$$\frac{1}{12}$$
外国語試験
(多肢選択式)
$$\frac{3}{12}$$
二次試験外国語面接$$\frac{1}{12}$$
人物試験$$\frac{3}{12}$$
三次試験適性試験合否判定のみ
身体検査
身体測定

一次試験の内容

基礎能力試験の内容(航空管制官採用試験)

航空管制官採用試験の基礎能力試験(教養試験)は、基礎学力や一般教養がどれくらい備わっているかを測る筆記試験です。

出題科目は、思考力・判断力を問う「一般知能科目」と、社会情勢への関心度や情報の知識を問う「一般知識科目」から出題されます。

航空管制官採用試験 基礎能力試験の出題科目
一般知能数的推理方程式や図形の計算など、思考力や計算力を測る科目
判断推理文章や条件から確実に言える肢を探し出す科目。クイズのような問題が多い。
空間把握平面、立体図形に関する科目。空間認識力や図形の理解が問われる。
資料解釈グラフや表を読み取り正しい肢を選ぶ科目。正確な計算力や処理能力が問われる。
文章理解300~400字の現代文や英文を読み、趣旨や内容に合致するものを選ぶ科目。読解力や速読力が求められる。
一般知識社会時事自然・人文・社会に関する時事問題。
情報コンピュータやプログラミングに関する知識を問う科目
江本

2024年度より一般知識科目は従来の方式から大幅に変更となっています!

このように、幅広い科目・分野から出題されますが、問題レベルはそんなに高くありません。

どの科目から手をつけるのか、どの分野は捨てていいのかなど、出題傾向(範囲)を理解し、効率よく勉強しましょう。

具体的な内容や対策方法は下記記事を参考にしてください。

適性試験Ⅰの内容(航空管制官採用試験)

適性試験Ⅰは記憶力や空間把握力を測る筆記試験です。

航空管制官採用試験 適性試験Ⅰの概要(2024年度)
試験時間45分
問題数60問
出題形式択一式
配点比率$$\frac{2}{12}$$

難しい試験ではありませんが、試験時間に対する問題数が多いため速解力が求められます。

外国語試験(聞き取り)の内容(航空管制官採用試験)

英語のヒアリング試験です。

航空管制官採用試験 外国語試験(聞き取り)の概要(2024年度)
試験時間40分
問題数10問
出題形式択一式
配点比率$$\frac{1}{12}$$

中学校や高校でやったリスニングテストだと思ってください。

江本

合格者によると、レベルは「大学入試共通テスト〜英語検定準1級」とのことです。

外国語試験(多肢選択式)の内容(航空管制官採用試験)

外国語力を測る筆記試験です。

航空管制官採用試験 外国語試験(多肢選択式)の概要(2024年度)
試験時間120分
問題数30問
出題形式択一式
配点比率$$\frac{3}{12}$$

出題範囲は次の3領域で構成されています。

  • 英文解釈(長文読解)
  • 和文英訳
  • 文法(空欄補充)

最初の英文解釈に時間を取られると、時間切れになってしまいます。

そのため、文法→和文英訳→英文解釈という順番で解くといいでしょう。

江本

試験レベルは大学入試共通テスト〜国大二次試験です。

二次試験の内容

人物試験の内容(航空管制官採用試験)

航空管制官採用試験の面接試験は、自己PRや志望動機から公務員・航空管制官としての適性や素質、人間性などを評価・判断する人物試験です。

ここ近年の公務員試験では面接試験が重視されているので、早い時期から面接対策を見据えていきたいところ。

試験では、一般的な質問に加え、公務員としての責任や使命や、航空管制官の仕事内容の質問が出されます。

航空管制官採用試験 人物試験の概要(2024年度)
試験時間20分
人数1人
面接官3人
配点比率$$\frac{3}{12}$$

配点比率は高く、人物試験でC評価(A~Eの5段階)以上ないと足切り(=不合格)なので注意してください。

二次試験合格者の決定方法

第1次試験合格者のうち、外国語試験(聞き取り)及び外国語試験(面接)において基準点以上であり、かつ、人物試験においてA~Cの評価である者について、基礎能力試験、適性試験Ⅰ部、外国語試験(多肢選択式)、外国語試験(聞き取り)、外国語試験(面接)及び人物試験の標準点を合計した得点に基づいて第2次試験合格者を決定します。

勉強時間の多くを基礎能力試験や外国語試験に充てるのは正しいですが、面接対策を後回しにしたため落ちてしまった人を何人もみてきました。

そんな不幸な結末を迎えないためには、筆記対策と並行して面接練習を行うことが重要です。自分らしさや航空管制官への熱意をアピールできるように準備していきましょう。

航空管制官採用試験に関するFAQ

航空管制官採用試験の入試に関するFAQ(受験者から頻繁に寄せられる質問とその回答)をまとめています。

試験概要

航空管制官採用試験の年齢制限は?

航空管制官採用試験の年齢制限は30歳までとなっています。

具体的な年齢制限は「1994年4月2日以降に生まれた者で、大学を卒業した者及び2025年3月までに大学を卒業する見込みの者」です。

  • 2024年度選考の場合。

航空管制官採用試験の採用人数は?

2024年度航空管制官採用試験では、120人程度の採用を見込んでいます。

  • 2024年度:120人
  • 2023年度:85人
  • 2022年度:70人
  • 2021年度:35人
  • 2020年度:35人

航空管制官採用試験の倍率は?

2024年度航空管制官採用試験の最終倍率は3.5倍でした。

  • 受験者数:472人(229人)
  • 合格者数:135人(68人)
  • 最終倍率:3.5倍(3.4倍)

( )は女性の数。

過去の実施状況は、下記の記事を参考にしてください。

航空管制官採用試験で採用漏れはある?

航空管制官採用試験では、合格者全員が採用されるわけではありません。そして、いわゆる採用漏れという状況は起こっています

人事院の年次報告書によると、2021年度の試験で合格した42人の候補者のうち、38人が採用されました。残りの4人のうち、自ら採用を辞退した者が3人、そして1人が残念ながら採用に至らなかったことが記されています。

したがって、できるだけ高得点を取り、採用予定人数内に入ることが重要と言えるでしょう。

航空管制官採用試験の配点比率は?

航空管制官採用試験の配点比率は次のとおり。

航空管制官採用試験の配点比率(2024年度)
一次試験基礎能力試験$$\frac{2}{12}$$
適性試験$$\frac{2}{12}$$
外国語試験
(聞き取り)
$$\frac{1}{12}$$
外国語試験
(多肢選択式)
$$\frac{3}{12}$$
二次試験外国語面接$$\frac{1}{12}$$
人物試験$$\frac{3}{12}$$
三次試験適性試験合否判定のみ
身体検査
身体測定

試験日程

航空管制官採用試験の募集要項はいつ出る?

例年、航空管制官採用試験の募集要項は初任科2月上旬に発表されます。

2024(令和6)年度の募集要項は2024年2月22日(木)に公示されました。

募集要項には、試験内容や実施状況などの詳細な情報が掲載されていますので、必ず確認してください。

航空管制官採用試験の試験日や合格発表日はいつ?

具体的な選考スケジュールは次のとおり。

航空管制官採用試験 選考日程(2024年度)
受付期間2024年2月22日(木)〜3月25日(月)
一次試験2024年5月26日(日)
一次試験
合格発表
2024年6月18日(火)
二次試験2024年7月3日(水)
二次試験
合格発表
2024年8月13日(火)
三次試験2024年8月22日(木)〜23日(金)
最終合格2024年10月2日(水)
  • 合格発表は9:00〜人事院のWebページで発表されます。

試験対策

航空管制官採用試験の過去問(入試問題)はある?

はい、航空管制官採用試験の過去問題は人事院の公式ホームページで公開されています。

人事院のホームページにアクセスし、「試験問題例」のセクションを探してください。

そこから、航空管制官採用試験の過去問題をダウンロードすることができます。

下記の記事でも過去問をまとめているので、参考にしてください。

航空管制官採用試験の合格点や平均点は?

航空管制官採用試験の合格点は6割程度です。

まとめ|航空管制官採用試験は難しいのか

難易度だけで考えれば、航空管制官採用試験に受かることはそんなに難しくありません。

試験問題は中学〜高校レベルですし、合格ラインも6割程度だからです。

しかし、単純に筆記試験の点数を取れば合格できるものではなく、面接などによる人間性も重視されるため、努力がそのまま結果に結びつかない難しさがあります。

解説したとおり、航空管制官採用試験の試験内容は幅広いため、適当に勉強を進めるのではなく、傾向ををきちん理解してから効率よく行うことが大切です。

本サイトでは、航空管制官採用試験の合格に必要な情報を多く配信しています。

ぜひ、参考にして対策を始めてくださいね。

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