本記事では、「高卒で税務職員を目指したい」「受験勉強を始めたばっかり」という人を対象に、税務職員採用試験の難易度と試験内容を徹底解説します。
結論から言えば、高卒で税務署職員になる難易度は高くありません。しかし、税務署職員になるまでの過程は思っている以上に難しいです。
今回は、高校を卒業したらの税務署で働きたい方に向けて「受験マニュアル」を作る気持ちで書きました。最後まで読めば、採用試験の概要から合格に向けた準備まで行うことができますよ!
敵を知らずして対策を始めてしまうのは、正直無謀です。本記事を参考に税務職員採用試験の合格に向けて着実に準備を進めていきましょう。

税務職員採用試験の難易度
結論から言えば、税務職員採用試験の難易度は高くないです。
しかし、合格するのは簡単ではありません。
これを詳しく解説します。
倍率は低め
税務職員採用試験の倍率は、他の公務員試験に比べて低い傾向にあります。
2024年に実施された令和6年度税務職員採用試験の最終倍率は2.4倍でした。この数値の中には、まともに対策していない人も多く含まれているので、実際はもっともっと低いです。
地方公務員(県や市)の倍率は10倍を超えることが多いので、数値だけ見れば”税務職員採用試験の難易度は低い”と言えます。
試験問題は中学から高校1年レベル
対策するのに多くの時間が必要な筆記試験のレベルは、中学校や高校で勉強してきた内容です。
たとえば、次はメイン科目の一つである数的推理の問題。

「速さ」という単元で、中学校1年生で学習する内容です。なんとなく覚えているのではないでしょうか。
時間をかければ解ける問題は多いので、大学入試や各種資格試験に比べると難易度は低いです。
ボーダーラインは6割程度
税務職員採用試験のボーダーラインがそこまで高くない点も難易度の低さを証明しています。
受験年度や採用人数によって変動しますが、ボーダーラインは5割程度です。しっかり準備しておけば容易に到達できる水準です。
同じ公務員試験でも、裁判所事務官は最低8割必要ですし、県庁や市役所も7割程度。比較すると税務職員のボーダーラインは大したことありません。
5割程度の点数であれば、傾向に沿って勉強すれば十分に取れるので、そこまで難度は高くないでしょう。
全員は合格できない
しかし、税務職員採用試験は競争試験です。つまり、一定数の採用枠に対して、成績上位者から順に合格が決まるため、受験者全員が合格できるわけではありません。
資格試験(英検や漢検など)であれば偏差値の高い人が何人いても基準点を取れれば合格できますが、競争試験では偏差値の高い人たちよりも1点でも多くの点数を取らなければ合格できないのです。

受験者の大半が難関大学志望者だったら勝てる気がしないですよね…。
人間性・コミュニケーション力が求められる
また、最終合格するには、知識や学力だけでなく、税務職員(公務員)としての適性・資質や人間性(コミュニケーション能力)も必要です。
単純に筆記試験の点数を取れば合格できるものではなく、面接・作文などによる人間性が重視されるため、努力がそのまま結果に結びつかない難しさがあるんですよね。
これまでの入学試験や資格試験では、知識を詰め込んでいれば合格できたものが、税務職員採用試験では能力を総合的に評価されるため単に知識を詰め込んでいるだけでは合格できないのです。
何かの試験に偏った対策をするのではなく、どの試験科目もバランスよく対策しましょう。
税務職員採用試験の内容
高卒で税務職員になるには、筆記試験や人物評価を含む採用試験に合格する必要があります。ここでは、試験の流れや各試験の内容について詳しく見ていきましょう。
第1次試験
税務職員採用試験の第1次試験は、「基礎能力試験」、「適性試験」、「作文試験」が実施されます。
試験内容 | 試験の概要 |
---|---|
基礎能力試験 | 公務員(社会人)として必要な基礎学力(一般知能・知識)に関する筆記試験。(択一式:90分 / 40問) |
作文試験 | テーマに基づき、自分の考えを論理的に展開し記述する試験。税務職員として直面する課題への対応策や社会情勢など、深い思考と表現力が求められます。(600字 / 50分) |
適性試験 | 思考力・判断力・瞬発力などをを測る筆記試験(択一式:15分 / 120問) |
基礎能力試験(教養試験)
基礎能力試験は、計算力や読解力を測る『一般知能』と、今までに勉強してきた基礎学力を測る『一般知識』で構成される筆記試験です。
まずは、基礎能力試験の概要を確認しましょう。
試験時間 | 90分 |
---|---|
問題数 | 40問 |
レベル | 高校卒業程度 |
出題形式 | 五肢択一式 |
解答方式 | マークシート |
試験科目 | 数的推理、判断推理、資料解釈、文章理解 一般知識 社会科学、人文科学、自然科学、情報 | 一般知能
配点比率 | 5/10 |
このように試験の形式自体はシンプルに見えますが、実際の出題範囲は非常に広範囲にわたります。
そのため、どの科目から手をつけるのか、どの分野は捨てていいのかなど、出題傾向(範囲)を理解し効率よく勉強しましょう。



下記の記事では、過去のデータをもとに、出題傾向を分析し、効率的に学習を進めるためのポイントを整理しました。参考にしてください。


作文試験
作文試験は、自分の考えや主張を論理的に説明する文章形式の試験です。筆記試験では判断できない、論理的思考力や読解力、公務員としての適性などを総合的に評価します。
まずは、作文試験の概要を確認しましょう。
試験時間 | 50分 |
---|---|
問題数 | 1題 |
文字数 | 600字 |
評価基準 | ・内容 ・表現 ・文字 |
配点比率 | 合否判定のみ |
作文は、自分では文章が書けると思っていても、意外に書けなかったり、書けた(気になった)としても課題に対してまったく十分な解答にはならないことはよくあります。
勉強すればしただけ成果が見える筆記試験とは違い、客観的な評価(添削してもらうこと)でしか習熟度がわからないため厄介な試験といえるでしょう。
毎年、作文で評価がもらえずに不合格となる受験者は一定数いるので早めに準備をしてください。



過去のテーマや対策方法は下記記事でまとめています。


適性試験
適性試験は、簡単な計算問題や図形の組み合わせなど、短時間でどれだけ多くの問題を解けるか(処理できるか)を測る筆記試験です。
まずは、適性試験の概要を確認しましょう。
試験時間 | 15分 |
---|---|
問題数 | 120問 |
出題傾向 | 計算 照合 置換 分類 図形把握 これらの形式から3パターンが出題される。 |
配点比率 | 2/10 |
1問1点で計算されるので、高得点が取れると基礎能力試験の負担を減らせます。
特別な対策は必要ありませんが、何回かは時間を計って問題形式になれるようにしましょう。



適性試験の過去問や対策方法は下記の記事を参考にしてください。


第2次試験
税務職員採用試験の第2次試験は人物面に関する口述試験(面接)が行われます。
面接試験 | 税務職員としての対応力や人柄、コミュニケーション能力などに関する面接試験。過去の経験や将来ビジョンについて質問されます。(1人20分程度) |
---|---|
身体試験 | 税務職員として職務遂行に必要な身体や健康度を検査します。呼吸器や循環器などの検査項目について、視診・問診・聴打診を実施。 |
面接試験
自己PRや志望動機から税務職員(公務員)としての適性や素質、人間性などを評価・判断する人物試験です。
ここ近年の公務員試験では面接試験が重視されているので、早い時期から面接対策を見据えていきたいところ。
まずは、口述試験(面接)の概要を確認しましょう。
実施形式 | 個人面接 |
---|---|
試験時間 | 15分程度 |
面接官 | 3人 |
面接カード | あり(二次試験日に提出) |
配点比率 | 3/10 |
個人面接は1人の受験者に対して、集中してチェックできるため、面接官は様々な観点から評価することができます。
間違いのない回答を目指すことも重要ですが、あまりマニュアルに頼るのではなく、それ以上に自分らしさや税務職員採用試験への熱意をアピールできるように準備していきましょう。



面接カードや過去の質問例は下記の記事でも詳しく解説しています。


税務職員採用試験に関するFAQ
税務職員採用試験に関するFAQ(受験者から頻繁に寄せられる質問とその回答)をまとめています。
Q1.年齢制限
税務職員採用試験の年齢制限は?
税務職員採用試験は21歳まで受験できます。
2025(令和7)年度の受験資格は以下のとおりです。
Q2.採用人数
税務職員採用試験の採用人数は?
2025(令和7)年度税務職員採用試験の採用予定人数は、701人です。
これまでの推移をまとめたので確認してください。
区分・地域 | 2025 | 2024 | 2023 |
---|---|---|---|
北海道 | 35人 | 30人 | 25人 |
東北 | 45人 | 40人 | 40人 |
関東甲信越 | 270人 | 300人 | 300人 |
東海北陸 | 80人 | 90人 | 80人 |
近畿 | 120人 | 125人 | 120人 |
中国 | 40人 | 40人 | 40人 |
四国 | 25人 | 25人 | 25人 |
九州 | 80人 | 90人 | 75人 |
沖縄 | 6人 | 8人 | 8人 |
Q3.競争率(倍率)
税務職員採用試験の競争率は?
税務職員採用試験の倍率は2〜3倍台で推移しています。
- 2024年度:2.4倍
- 2023年度:3.0倍
- 2022年度:3.2倍
- 2021年度:3.5倍
- 2020年度:3.7倍
統一試験日を設けて選考を行っている地方公務員とは違い、税務職員採用試験の選考試験は単独日で行うため全国から受験者が集まりやすいです。



地域別の倍率や詳細(受験者数や合格者数など)は下記の記事で詳しくまとめています。参考にしてください。


Q4.配点
税務職員採用試験の配点は?
税務職員採用試験の配点は以下のとおりです。
選考 | 試験種目 | 2024 | 2025 |
---|---|---|---|
一次試験 | 基礎能力試験 | $$\frac{2}{4}$$ | $$\frac{5}{10}$$ |
適性試験 | $$\frac{1}{4}$$ | $$\frac{2}{10}$$ | |
作文試験 | 合否のみ | 合否のみ | |
二次試験 | 人物試験 | $$\frac{1}{4}$$ | $$\frac{3}{10}$$ |
身体検査 | 合否のみ | 合否のみ |
Q5.出願期間
税務職員採用試験の出願期間は?
税務職員採用試験の出願は、例年6月上旬から下旬にかけて行われます。
2025(令和7)年度の出願期間は、2025年6月13日(金)から25日(水)までとなっています。



募集要項は2025年5月7日(水)に発表されました!
Q6.試験日
税務職員採用試験の試験日は?
税務職員採用試験の試験日は、第1次選考が9月、第2次選考が10月にそれぞれ実施されます。
2025(令和7)年度の試験日は以下のとおりです。
第1次試験 | 2025年9月7日(日) |
---|---|
第2次試験 | 2025年10月15日(水)から24日(金)のうち指定された日 |



国家一般職も同じ日程で行われています!
Q7.合格発表日
税務職員採用試験の合格発表日は?
税務職員採用試験の合格発表日は第1次選考が10月上旬、第2次選考が11月中旬に発表されます。
2025(令和7)年度の合格発表日は以下のとおりです。
第1次試験 | 2025年10月9日(木) |
---|---|
第2次試験 | 2025年11月18日(火) |
Q8.過去問
税務職員採用試験の過去問はダウンロードできる?
税務職員採用試験の過去問は人事院ホームページで公開されています。
人事院ホームページにアクセスし、「試験問題例」のセクションを探してください。そこから、税務職員採用試験の過去問をダウンロードすることができます。



過去問は下記の記事でも3年分を掲載しています。参考にしてください!


Q9.ボーダーライン
税務職員採用試験のボーダーラインは?
受験年度や採用人数によって変動しますが、ボーダーラインは6割程度です。しっかり準備しておけば容易に到達できる水準です。
同じ公務員試験でも、裁判所事務官は最低8割必要ですし、県庁や市役所も7割程度。比較すると税務職員採用試験のボーダーラインは大したことありません。
6割程度の点数であれば、傾向に沿って勉強すれば十分に取れるので、そこまで難度は高くないでしょう。



過去の合格点は下記の記事で詳しくまとめています。参考にしてください!


まとめ|税務職員採用試験は難しいのか
難易度だけで考えれば、税務職員採用試験に受かることはそんなに難しくありません。試験問題は中学〜高校レベルですし、ボーダーラインも5〜6倍程度だからです。
しかし、単純に筆記試験の点数を取れば合格できるものではなく、面接・作文などによる人間性も重視されるため、努力がそのまま結果に結びつかない難しさがあります。
解説したとおり、税務職員の試験内容は幅広いため、適当に勉強を進めるのではなく、傾向ををきちん理解してから効率よく行うことが大切です。
本サイトでは、税務職員採用試験の合格に必要な情報を多く配信しています。
ぜひ、参考にして対策を始めてくださいね。


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